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輸入博では、多くの来場者が日本酒の新商品や受賞清酒を試飲していた(写真)。日本から中国への酒類の輸出額は2年連続で減少したが、今年は大幅増で中国という巨大市場での「失地回復」が見込まれるようになった。
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清酒をはじめとする日本から中国への酒類の輸出額は、2022年まで13年連続で増加したが、23年と24年は減少した。しかし日中の関係者が尽力したこともあり、25年は前年比での大幅増と、中国という巨大市場での「失地回復」が見込まれるようになった。中国メディアの界面新聞が伝えた。
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上海市内で10日まで開催の中国国際輸入博覧会(輸入博)の日本貿易振興機構(JETRO)の出展場所を6日午後に取材したところ、多くの来場者が日本酒の新商品や受賞清酒を試飲していた。清酒以外にも、日本産の焼酎、泡盛、ウイスキー、梅酒、リキュール、ワイン、ビールなど多様な酒類が試飲できた。
JETRO上海事務所の本宮佑規農林水産・食品部長は「今年のJETROブースの企業数は昨年の約3倍で、148社の出展企業のうち100社以上が日本酒関連企業です」と説明した。日本酒業者が団体で今年の輸入博に出展したのは、中国の酒類輸入市場全体が低迷する中で、日本酒が独自の回復曲線を描いているという、対照的なタイミングだった。

中国税関総署によると、25年上半期(1-6月)において、中国の日本からの酒類の輸入額は、前年同期比42.2%増の約6億元(約13億円)だった。注目すべきは、同じ期間の中国の酒類輸入総額が123億元(約2700億円)で、前年同期比13.4%減だったことだ。中国での酒類の輸入の相手として、日本は国と地域別で世界第4位だ。また、中国は日本の清酒の最大の輸出市場だ。
日本の清酒の中国への輸出額は22年まで13年連続で過去最高を更新した。22年には日本の清酒輸出額が、12年の33倍の141億6400万円に達した。しかし23年と24年には日本の清酒対中輸出が2年連続で減少した。原因としては、23年に福島第一原発からの処理水の放出が始まり、中国が日本産水産物の輸入を全面停止したこと、中国国内での景気減速による消費低迷、22年までの急成長に対する反動があったとされる。
日本酒造組合中央会(JSS)によると、24年の日本の対中清酒輸出額は前年比8.11%減の約116億7800万円だった。しかし25年は上半期の輸出規模が回復したことで、通年で前年の減少傾向が反転する見込みという。
日本の清酒は多くの場合、中国側の代理店が輸入、販売、宣伝を担当する方式で中国市場に参入する。輸入博の会場で、上海華湘貿易発展は自社が代理販売する清酒を10種類以上展示した。同社の劉陽営業マネージャーは、「上海は美食の都であり、中国全国で日本料理店が最も多い都市でもあります。だからこそ、上海で開催される輸入博を契機に、中国市場により多くの日本酒類を紹介したいです」と述べた。劉マネージャーはさらに、「清酒は日本料理に合うだけでなく、唐辛子などが効いた料理にもよく合います」と、中国市場における日本酒の新たな可能性にも言及した。

劉マネージャーはさらに、「中国、日本などの国々が22年に締結した『地域的な包括的経済連携協定』(RECP)に基づき、日本の清酒は対中で税率が年々引き下げられます。業界にとって、継続的な好材料となることは間違いありません」と述べた。
日本の清酒の対中輸出にかかる総合税率は、輸入関税、付加価値税、消費税で構成される。うち中国が日本清酒に課していた輸入関税は22年以前は40%だった。ウイスキーの5%と比べれば、かなりの高税率だった。しかしRECPに基づき、清酒の税率は年々引き下げられ、21年以内にゼロ関税になる予定だ。数年前は約73%だった総合税率は、現在までに68%まで引き下げられたという。
界面新聞によると、自社が扱う沖縄の泡盛をジェトロを通じて輸入博に出展した別の代理店関係者は、「復活」という言葉を繰り返し使って説明した。過去2年間にわたって沖縄の泡盛の対中売上高は連続して減少したが、今年はプラス成長が期待できるという。この会社は過去に4回輸入博覧会に出展しており、中国国内の多くのレストランやバーと提携を結んでいる。今年の出展を通じて、販路をさらに拡大したいと考えているという。

拉姆拉餐飲(上海)の呉雯嵐社長は、10年以上の飲食業界経験を持ち、上海市内で多くの日本料理店を経営している。呉社長は、今年は自社のレストランでの酒類販売は前年比で約10%増加の状態と説明した。また、中国に進出する日本酒ブランドは増えつつあり、酒類の数が増えるにつれて、清酒など日本の酒類に対する認知度も高まっているという。
呉社長は、「日本の多くの都道府県も飲食店と提携して酒類のプロモーションや試飲イベントを展開しています。例えば、鳥取県に紹介されたことで、私どもの酒メニューに鳥取産の清酒を追加しました」と説明した。また、近年では「プリン体ゼロ」の焼酎の人気も高まっており、11月13日には呉社長が経営する飲食店が鹿児島県特産品協会上海事務所と連携して、鹿児島産焼酎のプロモーションイベントを開催するという。(翻訳・編集/如月隼人)
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