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中国の大型ネット通販セール「双11(ダブル11、11月11日)」。今年はAIが「運営者・戦略家・販売員」として多様な役割を果たし、商戦の主役となっている。写真は淘宝(タオバオ)。
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中国の大型ネット通販セール「双11(ダブル11、11月11日)」が今年も開幕し、各大手EC(電子商取引)プラットフォームが総力を挙げて臨んでいる。中国紙は「今年は人工知能(AI)が「運営者・戦略家・販売員」として多様な役割を果たし、商戦の主役となっている」と伝えた。
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東方新報によると、企業側にとってAIは単なる運営ツールではなく、経営判断を支える「頭脳」となり、直接的に売り上げ拡大に寄与している。天猫(Tmall)の劉博総裁は発表会で「AIがブランドに新しい成長の可能性をもたらしている」と語った。
今年、淘宝(タオバオ、Taobao)と天猫はAI分野への投資を大幅に強化した。プラットフォームの演算能力は従来比で40倍に向上し、ユーザー行動の分析期間も半年から10年へと拡大。これにより、商品のレコメンド精度が大幅に上がり、購買効率は25%向上したという。

さらに天猫では経営分析、商品運営、素材制作、顧客ターゲティングなど、ほぼすべての工程をAI化。これにより、商家の運営が自動化・効率化し、累計で数百億元(数千億円)規模のコスト削減が実現した。
動画プラットフォーム「ビリビリ動画(bilibili)」も今年のダブル11でAIを活用。AIによって企業と動画クリエイターのマッチングを最適化し、広告・販売の効率を高めている。同社の1日当たりのアクティブユーザーは1億900万人に達する。
一方、京東(JD.com)は「京小智」「京点点」などのAIツールを無料開放。生成AIを活用したカスタマーサポートにより、問い合わせ対応の待ち時間を短縮した。さらにAIモデル構築ツール「JoyBuilder」やデジタルアバター「JoyStreamer」も提供し、中小企業でも簡単にAIを導入できるようにしている。
消費者にとっても、AIは買い物をサポートする「小さなアシスタント」になっている。天猫が配布する総額500億元(約1兆580億円)の割引クーポンのうち一部は、中国のECサイトが導入しているAIによるクーポン最適配布システム「智惠引擎(スマート・ディスカウント・エンジン)」が最適なタイミングで発行。従来よりも利用率が15%上昇した。利用者は不要なクーポンを延々と探す必要がなく、より効率的に買い物ができるようになった。
物流面でもAI化が進む。京東物流は初めて「スーパー・ブレイン」と「ウルフパック」と呼ばれるAI機器群を大規模に導入。スーパー・ブレイン2.0モデルは数千万の変数を2時間以内で最適化し、連携ロボット「ウルフパック」は配送ライン全体で通信しながら作業効率を約20%向上させた。
中航証券の最新レポートによると、AI技術はすでにEC業務の全工程に浸透しており、コンテンツ生成、レコメンド、顧客対応、サプライチェーン管理、物流まで効率と体験を大きく改善している。東方新報は「大規模言語モデルやバーチャル販売員などの技術導入が進むことで、EC業界は『流量主導』から『知能主導』へと進化しつつある」と報じた。(編集/日向)
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