AIはどのように研究開発を後押しする?ノーベル賞受賞者らはこう語る―中国メディア

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29日、第一財経は、人工知能(AI)と研究開発のつながりについて、米国で行われたシンポジウムにて歴代のノーベル賞受賞者3人が語った知見を紹介した。

2025年10月29日、中国メディアの第一財経は、人工知能(AI)と研究開発のつながりについて、米国で行われたシンポジウムにて歴代のノーベル賞受賞者3人が語った知見を紹介した。

記事は、米サンフランシスコで今月27〜28日に行われた天橋脳科学研究院(Tianqiao&Chrissy Chen Institute)によるAIを推進力とした科学研究に関するシンポジウムで発表を行った、歴代ノーベル賞受賞者3人の講演内容を紹介している。

まず、今年の化学賞受賞者であるカリフォルニア大学バークレー校のオマー・ヤギー教授は、AIを「新しい科学的思考体」と位置づけ、AIによって科学が自ら思考・進化する能力を獲得しつつあると発言。その具体例として、ChatGPTで分子最適化された材料を用い、極度の乾燥地帯であるデスバレーでも機能するゼロエネルギーの携帯型取水装置を紹介した。

また、生成AIと自律型エージェントからなる仮想研究チームが実験設計などを分担し、数日内に多孔性有機フレーム材料の結晶化プロセスを大幅に最適化した成果を報告し、AIが単なるテキスト生成器から科学的推論エンジンへと進化している証拠だと説明している。

昨年の化学賞受賞者であるワシントン大学のデビッド・ベイカー教授は、AIがいかにタンパク質工学の分野で「新規物質の設計」を可能にしたかに触れ、自身のチームが開発した生成AIモデル「RF Diffusion3」が、期待する分子機能をインプットするだけで新型タンパク質の正確な三次元構造を生成し、アルツハイマー病治療の新しい戦略となるペプチド結合物などを設計した事例を紹介した。

そして、AIの急速な発展には、予測設計と実験検証が連携し、実験データを即座にモデルにフィードバックする「設計―構築―テスト―学習」の閉ループが不可欠だと強調した。

さらに、20年の化学賞受賞者であるカリフォルニア大学バークレー校のジェニファー・ダウドナ教授は、ゲノム編集ツールとAIが「協調進化」することで、個別化遺伝子治療の研究にますます寄与していることを紹介。ゲノム編集技術によって生成される大量の遺伝子操作とその結果のデータをAIがデータセットとして機械学習することにより、特定の遺伝子と病気との因果関係について迅速に把握し、ゲノム編集戦略を提案できるようになったと説明した。

記事は、中国のゲーム会社・盛大集団および天橋脳科学研究院の創始者である陳天橋氏がシンポジウムの中で、各分野における課題の解決策をデータやAIによって発見する「発見知能」こそが真の汎用人工知能(AGI)であると強調した上で、この分野の研究を支援するため10億ドル(約1500億円)相当の計算資源を世界の科学者に提供することを発表したと伝えている。

陳氏はまた、真に知性を変革する次のアルゴリズムは大規模なデータセンターではなく「ノートパソコン上で生まれる」とも語り、世の中をひっくり返すような大発見が個人の自由な思考から誕生する可能性を示唆した。(編集・翻訳/川尻

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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