劇場版「チェンソーマン レゼ篇」、藤本タツキ氏の描く愛とMAPPAの映像美―中国メディア

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24日、中国のポータルサイト・捜狐に劇場版「チェンソーマン レゼ篇」における藤本タツキ氏の描く愛とMAPPAの映像美について論じた記事が掲載された。写真はチェンソーマン。

2025年10月24日、中国のポータルサイト・捜狐に劇場版「チェンソーマン レゼ篇」における藤本タツキ氏の描く愛とMAPPAの映像美について論じた記事が掲載された。

記事はまず、「劇場版『チェンソーマン レゼ篇』において、作者・藤本タツキ氏とアニメ制作会社・MAPPAは『愛・破壊・人間性』をめぐる映像的饗宴を創出した。これはよくある恋愛物語ではなく、愛がどのようにして破壊へ至り、破壊がいかに詩となるか、炸裂と流血と孤独によって紡がれた現代詩である」と述べた。

その上で、「この作品が心を揺さぶるのは、ごう音を立てるチェンソーでも爆発の閃光でもなく、雨の中で起こる一見平凡でありながら、運命的に悲劇へと向かうデンジとレゼの出会いである。レゼの優しさは嵐の前の静けさのようであり、その笑顔はゆっくりと爆発へと向かう時限爆弾のようだ。藤本氏が描く愛は決して純粋ではない。常に危うい熱を帯びており、人を癒やしながらも焼き尽くすのだ」と言及した。

そして、「MAPPAの映像表現の下で、この感情は極限まで具象化されており、赤と黒の対比、砕けた光と影、雨粒が跳ねるスローモーションなど、それらが宗教的とも言えるような視覚体験を構成している。レゼが『爆弾の悪魔』と化す場面は、単なるアクションではなく、破壊という形の自己告白だ。それは暴力の美学化、すなわち破滅の中に美を見出す試みであり、藤本氏の世界観そのものである」と論じた。

記事は、「藤本氏は常に『愛』と『恐怖』を同じ文脈に置くことにたけている。彼の登場人物たちは、愛を求めながらその愛に呑まれ、自由を渇望しながらも欲望のおりにとらわれる。デンジの天真さは、生き延びるために磨かれた残酷な童心であり、レゼの優しさは、世界に追い詰められた末の仮面と葛藤である。2人の愛は、互いの中に希望の幻影を見ながらも、現実の中でその像は粉々に砕けてしまう」と説明した。

また、「この愛の核心は『どれほど深く愛するか』ではなく、『愛の中で生き残れるか』にある。藤本氏は『都会のネズミと田舎のネズミ』の寓話(ぐうわ)を用いて、現代人のジレンマを問う。都会のネズミはごちそうを得るが危険を冒す。田舎のネズミは平穏だが退屈である。デンジとレゼの運命は、この二項対立に苦しむ現代人の隠喩である。私たちは刺激を求め、快楽を追いながら、欲望の爆発の中で自らを燃やし尽くしていくのだ」とした。

さらに、「MAPPAはほとんど狂気とも言える職人技によって、この哲学を映像へと具現化した。映像の動きは風のようにしなやかで、爆発のリズムは呼吸のように脈打つ。どのカットも『痛みの美しさ』を語るかのようだ。監督は説明を拒み、映像と音楽だけで感情を編み上げる。日本のシンガーソングライター・米津玄師と宇多田ヒカルの楽曲が交差する瞬間、物語は臨界点に達し、その時観客は愛の終曲を聴くような感覚に包まれる」と述べた。

記事は、「同作の構成は緊張に満ちている」とも言及。「前半は軽やかで甘美、まるで夢のようだが、後半になると突然崩れ落ち、破滅へと転落する。このリズムの反転は、単なる物語上の仕掛けではなく、登場人物たちの心理的リズムの映し鏡でもある。藤本氏は『ロマンスから絶望』という道筋を辿ることで、愛の滑稽さを浮かび上がらせる。愛は救済の可能性であると同時に、自壊の始まりでもあるのだ」と論じた。

また、「藤本氏の創作は、日本の小説家・村上春樹や安部公房の系譜を継いでいるとも言える。彼らはいずれも、個人が『現代という廃墟』の中でいかに真実を探すかを問う作家である。ただし藤本氏はより若く、より激烈だ。彼は言葉の代わりに血と鉄を使い、肉体の爆発を魂の比喩とする。レゼがデンジに向ける微笑みは、まるで現代社会が人間に向ける誘惑のようで、優しく華やかで危険だが誰もあらがうことができない」と言及した。

そして、「劇場版『チェンソーマン レゼ篇』は単なる悲恋ではなく『欲望の代償』『幸福の危うさ』『存在の空虚』を描いた現代の寓話でもある。私たちは依然として愛を求めながら、その愛にのまれることを恐れ、都会のごちそうを選びながら、自己を失っていく。エンディングテーマが流れる時、観客は暗闇の中で静かに沈黙する。その瞬間、私たちはみんな、廃墟とネオンの間を走り、愛と破滅の間で生きる存在として都会のネズミになる。そしてレゼは、私たちが夢の中で見た火花のような存在にすぎない。燃え、照らし、跡形もなく消えていくのだ」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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