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ファーウェイの企業向け営業部門の陳雷総裁は、「産業インテリジェンスの飛躍、あらゆる業界が新たな旅へ」と題した講演で、産業でのインテリジェンスの定着を推進するための「ACT三段階戦略」を提案した。
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華為技術(ファーウェイ)は18日から20日にかけて、上海万博展覧館と上海万博センターを会場として、第10回ファーウェイ全連接大会(HUAWEI CONNECT 2025)を開催した。同イベントでは、同社の上級副総裁である企業向け営業部門の陳雷総裁が、「産業インテリジェンスの飛躍、あらゆる業界が新たな旅へ」と題した基調講演を行い、産業のインテリジェンス変革に関するファーウェイの最新の考察と実践を説明した。また、産業インテリジェンスの定着をさらに推進するための「ACT三段階戦略」の実施要領を提案した。
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陳総裁によると、現在は、人工知能(AI)技術がかつてない速度で発展している一方で、企業はAIを導入する際に、3つの重要課題に直面する。まず「AIへの投資が真のビジネス価値を生むにはどうすればよいか」、次に「企業は自らの独自データ資源を競争力に変えるにはどうすればよいか」、さらに「業界へのAI導入を、試験段階から大規模な実運用へと移行させるにはどうすればよいか」だ。
陳総裁はさらに、業界3種についてファーウェイが協力した状況を紹介した。ファーウェイは「自律的に業務を遂行する、単なるチャットボットや推論モデルではなく、複雑な業務フローを理解、計画、実行できるAIシステム」を「AIエージェント」と呼んで、その性能向上に努めているが、銀行業務向けのAIシステムでは、新たに開発した「主従型動的AIエージェント構成」を導入した。
これは、AIエージェントを「主」と「従」に分けて、その時の状況によって役割を柔軟に割り振る仕組みだ。「主」はユーザーとの対話、業務の意図理解、タスクの分配など業務全体の流れや意思決定を統括する中枢的部分だ。「従」は取引処理、リスク評価、文書生成など特定の業務機能に特化したAIで、「主」の指示に従って動作する。
銀行関連では、この仕組みの導入により、個別の顧客についての対話、取引、リスク管理などでのAIの活用が加速し、収益増加、効率向上、リスク抑制が実現した。
電力業界では南方電網が、ファーウェイの昇騰(Ascend、アセンド)コンピューティングプラットフォームとマインド・スポア(MindSpore AI)フレームワークを利用して、電力業界向けのAI大規模モデルである「メガワット(MegaWatt)」を独自開発した。マインド・スポアはAI開発用のフレームワークで、AIモデルを作ったり、学習させたり、実際に動かしたりするための「道具箱」のようなものと考えればよい。
「メガワット」は、AIが画像や映像を見て理解する技術のコンピューター・ビジョン(CV)と自然言語処理(NLP)を、専門性に応じて分割・並列処理ができる大規模クラスター(マシン群)に組み入れることで、電力網のインテリジェント巡回点検で、現場で発生している欠陥やリスクの識別効率が5倍に向上し、画像認識精度も90%以上に達した。
医療業界では、医療機関に対しての診察支援などを行う上海潤達医療が、昇騰推論サーバーを基盤にAI病歴一体形ソリューションを構築し、病歴記録の質と利用効率を向上させた。華西医院を支援したAI生成型病歴の実運用では、最短1秒で患者の病歴を明示することができ、診察効率が大幅に向上した。
陳総裁によると、ファーウェイは顧客やパートナとの実践を通じて、産業の知能化に際しての重要な5点を発見した。
まず、シナリオの選定が極めて重要であることだ。AIは、中核的な生産シナリオと深く融合させてこそ、プロセスを再構築し、インテリジェントな製品やサービスの提供を促進することができる。
次に、縦型領域データ(業務特化型データ)の質が、AIの能力を決定することだ。汎用AIモデルは「箱を開ければすぐ使える」といった具合の利便性があるが、業務用としては不十分だ。企業は自社および業界で蓄積した大量の高品質データを用いて汎用AIモデルを訓練・調整することで、専用の業界AIモデルを構築し、差別化された競争力を形成する必要がある。
第3点は、AIエージェントが急速に大規模化しており、このことで、大規模推論への需要が極めて高まっていることだ。第4点は、人間とAIの協働が新たな組織パラダイムとなりつつあることだ。第5点は、体系的なガバナンスとリスク管理は守るべき最低限の基準であり、安全性、持続可能性、信頼性あるAIの利用を確保するために、効果的なガバナンス体制の構築が不可欠であることだ。
陳総裁はさらに、ファーウェイはこれら5つの発見と、それ以外にも業界での広範な実践を踏まえて、産業インテリジェンス推進のための「ACT三段階戦略」を提唱すると表明した。
「ACT三段階戦略」は「Assess high-value scenarios(価値の高いシナリオの評価)」「Calibrate AI models using vertical data(縦型業界データによるAIモデルの調整)」「Transform business operations with scaled AI agents(スケール化されたAIエージェントによる業務変革)」の頭文字による命名だ。
「価値の高いシナリオの評価」では、ファーウェイが提案する「AIシナリオ選定評価フレームワーク」により、ビジネス価値、シナリオ成熟度、業務と技術の融合度の3つの観点から総合評価を行う。この評価フレームワークはこれまでに、1000以上のAIを中核に据える業務シナリオの確定と定着を支援してきた。
「縦型業界データによるAIモデルの調整」において、ファーウェイは完全なツールチェーンを提供し、企業が生データを知識へ、知識をモデルへと変換できるよう支援する。また、包括的なAIのセキュリティー保護体制も構築する。
「スケール化されたAIエージェントによる業務変革」では、ファーウェイが提供する、企業向けのワンストップ式AIエージェント開発・運用のバーサタイル(Versatile)プラットフォームが、100以上のステップを含むAIエージェントと業務プロセスを自動生成でき、導入速度を大幅に加速させる。ファーウェイはさらに、人間とAIの協働がますます重要になっていることを鑑(かんが)みて体系的なAI人材育成体制を構築し、業務担当者がAIエージェントの使用、開発、導入、運用に直接関与できるよう支援する。
産業インテリジェンスの定着には、パートナーとの協力が不可欠だ。陳総裁は、ファーウェイは「オープン性と協力」の理念を堅持していると強調し、ファーウェイはオープンソースとその他の開放の継続、プラットフォームとツールの提供によるパートナー支援、業界経験の共有による成功事例の迅速な展開などの施策を通じて、ファーウェイとパートナーの協業体制を構築し続けていると説明した。サーバー向けのARMベースプロセッサーである鯤鵬(クンペン、kunpeng)の関連では業務エコシステムに6300以上のパートナーが、昇騰では2700パートナーが存在し、さらに70以上の業界コンサルティング企業、750の独立系ソフトウエア開発企業が参加しているという。
ファーウェイはまた、パートナーと共同開発した9つの主要産業インテリジェンスソリューションを発表した。それぞれは、都市インテリジェンス中枢および大規模モデル、科学技術インテリジェントコンピューティングラボ、医療技術デジタル化2.0、銀行向けAI技術および大規模AIモデル、製造研究開発のデジタル・インテリジェンス化、スマート物流および倉庫管理向けのソリューション「SMART」、スマート配電、石油・ガスのスマート探査および開発、製鉄高炉の炉温予測だった。(翻訳・編集/如月隼人)
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