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国内外で展開を進めてきた人気ブランドがプリメイド料理を巡ってイメージ危機に直面することとなった。
中国の実業家・羅永浩(ルオ・ヨンハオ)氏と人気外食チェーン「西貝」を展開する西貝餐飲集団の創業者・賈国龍(ジア・グオロン)氏との間で繰り広げられた論争に端を発したプリメイド料理問題は単なる食品加工の是非を超え、外食産業の信頼や透明性のあり方を揺さぶっている。
羅永浩氏はスマートフォン「Smartisan(スマーティザン)」の創業者で、現在はライブコマースや投資分野で影響力を持つネット文化人。SNSでの発言のインパクトは大きく、多大な拡散力を有している。
一方の「西貝」は内モンゴル自治区発祥の大手レストランチェーンで、オーツ麦を使った伝統料理「莜面」を看板に掲げる。そんな国内外で展開を進めてきた人気ブランドがプリメイド料理を巡ってイメージ危機に直面することとなった。
事の経過はざっと次のようになる。
9月10日
羅氏が「西貝の料理はほとんどプリメイドで高い」と投稿、表示義務化を求めた
9月11日
西貝が「当日の料理13品はいずれもプリメイドではない」と会見で反論
9月12日
西貝は全国の店舗で羅氏が注文したメニューを公開調理し、厨房見学を解禁
9月13日
国の「食品安全国家標準(国標)」草案が審査通過、近日中にパブリックコメント開始の見通しが明らかに
この間、SNS上では西貝の厨房で使われた冷凍ブロッコリーや工場パックを巡る映像が拡散し、「冷凍食材=プリメイドか?」という定義論争へと発展することになる。
「プリメイド料理」の範囲について、中国政府は2024年3月の時点で明確化している。
・工業的に前加工され、加熱などですぐ食べられる惣菜が対象
・カット野菜や単なる冷凍保存は含まれない
・主食類の多くも対象外
つまり、「工場加工済みかどうか」が判断基準であり、冷凍したりセントラルキッチンを利用したりしただけではプリメイドと断定できないというわけだ。
その後、人民日報や新華社、CCTVは相次ぎ「消費者が知る権利を持てるかどうか」を強調する論戦を張る。論点は味や品質論から「透明性」と「表示の明確さ」へシフトしていくことになる。
先行事例として、安徽省合肥市発のチェーン「老郷鶏」が店内調理、半プリメイド、再加熱を明示し、20万字の原料追跡レポートまで公開していることが挙げられる。羅氏もライブ配信でこれを「透明化の手本」と評価した。
西貝は15日、SNS・微博(ウェイボー)の公式アカウントで謝罪文を公開し、9項目の改善策を打ち出した。
・セントラルキッチンでの前処理を可能な限り店舗での調理に切り替え
・賞味期限を短縮し、鮮度と安全性を強化
・子ども向けメニュー3品を全面的に店内調理へ変更
例として、児童メニュー「牛肉飯」は肉みそを現場調理に変更、「牛肉ハンバーグ」は店内仕込みに、「鱈フライ」は冷凍品から生の黄魚を使用した調理へと切り替える方針を示した。
創業者の賈氏は「顧客がどう言おうと、西貝は明牌(オープンカード)でやっていく。胖東来のように徹底的に透明化を学ぶ」と宣言した。
ここで想起されるのが11年の「骨湯門(こつとうもん)」と呼ばれた事件だ。「門(ゲート)」は中国語でスキャンダルや問題を意味する。
当時、味千ラーメンは豚骨濃厚スープの訴求や栄養表示で誤導があったとして、上海市工商当局から20万元の行政罰(金)を受けた。「豚骨を長時間煮込んだ濃厚スープ」を使用していると宣伝していたが、実際には濃縮液ベースであったことが問題視された。
不適切な表示や誇大広告が信頼を損なう典型的な事例として記憶されている。
プリメイド料理論争は、「使う/使わない」の是非ではなく、「使うなら明示する」ことが消費者の信頼を守る唯一の道だと浮き彫りにした。
国家基準(国標)の施行で「使用有無の表示」が義務化されれば、透明性こそが外食企業の新しい競争軸になるだろう。西貝の厨房公開や老郷鶏の表示モデルはその先駆けにすぎない。
長期的に見れば、透明性はコストではなく、ブランドを持続させる最大の投資だ。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)
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