ラブブ神話が終焉か、価格下落が示すアートトイ市場の曲がり角

邦人Navi    
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中古市場でラブブの価格が急落し、転売業者が撤退を余儀なくされる事態になっている。

「一つ手に入れるのも至難の業」と言われたポップマートの人気キャラクター「ラブブ(Labubu)」。しかし、このほど中古市場で価格が急落し、転売業者が撤退を余儀なくされる事態になったという。

「隠しキャラ」価格も下落

封面新聞などによると、香港株式市場で8日、ポップマート株は最大8.9%の急落を記録し、終値は300香港ドルを割り込んだ。背景には株価の急騰後に投資家が持ち株を手放す「調整売り」が広がったことやラブブシリーズへの需要懸念があると指摘されている。

この動きと歩調を合わせるかのように、中古市場ではラブブの「隠しキャラ(シークレットフィギュア)」の価格が下落。かつて数千元(数万円)で取引されていたものが、今では800元(約1万6000円)台にまで値を下げた。

ちなみに「隠しキャラ」とは、ブラインドボックスに極めて少数しか封入されない特別デザインで、その希少性ゆえに一時はプレミアム価格が常態化していた。

半値以下となった市場価格

第4代ミニラブブシリーズが8月28日に発売された。価格は79元(約1600円)で、AとBの2組が展開され、それぞれ14種類の通常デザインと隠しキャラ1種が含まれる。隠しキャラの出現率は168分の1と設定され、発売直後には瞬く間に完売。整箱は一時3200元(約6万4000円)に達し、取引価格は1000元(約2万円)近くまで跳ね上がった。

価格変動の実態

・発売直後:整箱 3200元、隠しキャラ 1000元近く

・9月初旬:平均価格 107元、1箱 1446元

・ピーク期の半分以下まで下落

しかし熱狂は長続きせず、オンラインショッピングコミュニティーアプリ「得物App」によると、9月初旬の平均価格は107元(約2100円)、1箱(14個入りの未開封セット)1446元(約2万9000円)にまで下落。依然として定価をわずかに上回る水準ではあるが、ピーク期の半分以下にまで落ち込んだ。こうした急変は供給過多と需要減退が同時に進んだ結果とみられている。

感情消費と転売業者の退場

価格下落を受け、これまで市場を支配してきた転売業者も次々と撤退を表明した。SNS上では「ラブブシリーズは全面的に買取停止。市場回復の兆しを待つ」といった投稿が目立ち、中古市場には「赤字転売」「出血セール」と銘打った出品が増加している。

その一方で、供給は増えても買い手は様子見を続け、取引が成立しにくい状況だ。こうした現象は、短期的な利益を狙った「感情消費」が引き起こしたブームが持続性を欠いていたことを浮き彫りにしている。

ポップマートの沈黙と依存リスク

アートトイ市場はこれまで、投機的な転売需要と純粋に楽しむコレクター需要の両輪で成り立ってきた。しかし熱狂が冷めれば前者は退場し、残るのは後者だけだ。企業にとってはむしろ健全化とも言えるが、ラブブという単一IPへの依存度が高い現状はリスクとされる。

ラブブ人気の副産物として、衣装カスタムや改造フィギュアを手掛ける職人など新しい職業も誕生したが、需要が急減すれば周辺市場も一気に冷え込む可能性がある。ポップマートは商品の補充をあえて不定期に行い、投機的な動きを抑えようとしているが、数量コントロールを誤れば価格暴落を招きかねない。

市場の転換点としてのラブブ暴落

ラブブの価格崩落は、一つの人気キャラクター(IP)の浮沈にとどまらず、アートトイ市場全体が転換期を迎えていることを象徴している。希少性の演出や一時的な熱狂に依存するのではなく、ストーリー性や美的価値といった本質的な魅力をいかに持続的に育てていくかが問われている。

企業にとっては、短命なブームに頼らず持続可能なキャラクタービジネスの運営(IP経営)を構築できるかどうかが、今後の市場成長を左右する分水嶺になりそうだ。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)

※本記事はニュース提供社の記事であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。



   

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