住宅ローンを背負った中国の若者はどこへ向かう?―独メディア

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7日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、住宅ローンに苦しむ中国の若い世代の現状について報じた。写真は上海。

2025年8月7日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、住宅ローンに苦しむ中国の若い世代の現状について報じた。

記事はまず、31歳の女性、余(ユー)さんの事例を紹介。記事によると、広東省の名門大学英語学科を卒業して2018年にインフルエンサーを扱うマーケティング会社に入社した余さんは、新型コロナに伴うライブコマース事業の急成長に伴って多忙を極め、21年には年収が40万元(約800万円)に達した。その勢いで、深セン市にあるマンションを210万元(約4200万円)で購入し、月々8000元(約16万円)のローンを組んだ。しかし、購入直後から深センの不動産価格は下落に転じ、ライブコマース業界も成長が鈍化。24年には収入が激減した挙げ句にリストラされ、かつてのような高収入の仕事も見つからず、住宅ローンが払えなくなってしまった。

蓄えの少ない両親からの支援も得られず、今年4月には150万元(約3000万円)で売却しようとしても買い手がつかず、ついにはローン返済停止の状態に。6月には家財道具をすべて売り払い、実家の雲南省に戻った。現在は実家で畑仕事をして過ごしているとのことで、ローン返済のために高熱を出しても徹夜で働いていたいわゆる「家奴」だった状況を考えると、現在は「何もなくなってしまったが、失うものももうない」と、すがすがしい気持ちになっているという。幸い、滞納期間がまだ2カ月で家は差し押さえの法的手続きに入っておらず、信用情報にも影響は出ていないとのことで、少し心身を休めてから今後の対応を考えるそうだ。

次に紹介したのは、浙江省杭州市のプログラマー、徐(シュー)さんの事例だ。同じくプログラマーの妻とともに19年に300万元(約6000万円)余りを払って家を購入。20年に子供が生まれると妻は仕事をやめ育児に専念した。順調に見えた一家だったが、24年に徐さんがリストラされて収入が途絶えた。36歳という年齢はネット業界では「高齢者」であり、同じような仕事にありつける可能性は非常に低かったという。現在は妻がフリーランスとして英語の翻訳やウェブサイト作成を行い、徐さんはネット配車やフードデリバリー配達員などの仕事を掛け持ちして生計を立てているとのことで「ローンを滞納して自分の信用情報に傷がつくことはまあいいとしても、自分の子供の将来に悪影響を及ぼすことが心配」と語っているという。

3人目は海外留学後に上海で金融アナリストとなった女性の胡(フー)さん。フーさんは2人の状況とは異なり、早期に家を売却して「損切り」に成功している。不動産市場の先行きが不透明だと感じた23年に、所有していた上海のマンションを売却。まだ購入時より若干高い額で売れたようだが、装飾費用や金利などを差し引くとほぼ「とんとん」の状態だったという。それでも晴れて住宅ローンの呪縛から解放され、返済額よりも安い家賃の賃貸物件に住んでいる現状に「海外旅行に行くお金も確保できる」と満足していることを明かした。

記事は、野村證券のチーフ中国エコノミスト・陸挺(ルー・ティン)氏が7月9日に発表したリポートで、今年の中国経済もここ数年同様にこれから急激な落ち込みが生じる見込みで、不動産業界の見通しは厳しいと予測したことを紹介。その上で「中国の若者は家を買いたがり、多くは家の購入を結婚、育児の前提と捉えている。しかし、不動産価格の下落に伴ってますます多くの人が高額のローンに苦しめられ、返済滞納に追いやられるか安値で売却するかという、いずれにせよ不本意な選択をすることに迫られている」と評した。(編集・翻訳/川尻

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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