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19日、環球時報は、日本企業の積極的な海外進出の勝算について考察する、天津社会科学院アジア・太平洋協力・発展研究所の龔娜氏による評論記事を掲載した。
2025年6月19日、中国メディアの環球時報は、日本企業の積極的な海外進出の勝算について考察する、天津社会科学院アジア・太平洋協力・発展研究所の龔娜(ゴン・ナー)氏による評論記事を掲載した。
記事は、日本製鉄による米USスチール買収が実現したことについて「日本企業の海外M&Aが新たな時代においてますます複雑性を帯びていることを示すとともに、日本に『投資立国2.0』時代が到来したかをめぐる議論を呼び起こした」と伝えた。
そして、日本製鉄の生産能力が6500万トンから8500万トンへ増加し、世界のトップレベルに躍り出るこの買収劇が単なる商業的決定ではなく、日米同盟の枠組みにおける重要な戦略的措置でもあるとし、米国が「黄金株」制度を通じてUSスチールへの支配を確保することで日本資本への容認を示したこと、日本の経済産業省が日米経済協力深化の意義を高く評価していることが、この戦略的側面を裏付けているとした。
また、1980年代のプラザ合意による円高や日米貿易摩擦、バブル経済崩壊などを要因として、日本企業が新たな成長空間を求めて、いわば「受動的」に海外投資を拡大した過去の状況とは異なり、現在の日本企業の海外戦略は海外投資収益が日本最大の利益源へと成長した中での「能動的」なものへと変貌を遂げたと指摘。長期的な円安による輸入コストの上昇、国内市場の縮小が企業の海外投資を加速させる流れを生んでいるとしたほか、現代の日本企業はM&Aを技術、ブランド、特許の獲得を目指す長期的かつアグレッシブな戦略と位置づけており、買収能力の向上に伴って直接的なM&Aによる子会社化を狙う動きが主流化していると分析した。
一方で、「投資立国」戦略には潜在的なリスクもあると指摘。他国企業のM&Aでは経営理念の他に文化や労使関係の違いによる摩擦が課題となる可能性があるほか、今回米国が国家安全保障上の理由で買収に反発するなど、現地政府による政策の変動が大きく影響しうること、海外投資で得た利益がなかなか国内の投資や消費に還元されておらず「会社は豊かだが国は貧しい」という構造的矛盾のリスクがあること、そして地政学的リスクに直面する可能性などをリスク要因に挙げた。
記事は最後に、能動的で大規模な日本の海外投資戦略が想定のリターンを実現するためには、日本企業の総合的な能力や外部環境に対する安定性、そして行政による継続的な政策支援が必要だとし「賭けの行方がどうなるかは、時間の経過と現実的な情報を踏まえて結論づける必要がある」と結んだ。(編集・翻訳/川尻)
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