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自転車は単なる交通手段を超え、都市のサステナブルな未来を象徴する存在として再評価されている。写真は北京。
6月は世界自転車デーと世界環境デーが並ぶ月。自転車は単なる交通手段を超え、都市のサステナブルな未来を象徴する存在として再評価されている。日本と中国の歩みから、その変化をたどる。
6月は「世界自転車デー(6月3日)」と「世界環境デー(6月5日)」が連続し、都市政策と環境意識を考える象徴的な月といえるかもしれない。自転車という低コストで健康的な環境に優しい移動手段に改めて注目が集まっている。
「世界自転車デー」は2018年に国連が制定した。自転車は都市の持続可能な交通システムを支える要素と位置づけられる。特にアジア都市圏では、交通渋滞と大気汚染対策としての価値が継続的に再評価されている。
日本の自転車産業はかつて「精密工業の象徴」とされていた。完成車の品質が頂点に達したのが1985年という言説が語られることもある。同年のプラザ合意によって日本国内での自転車製造は構造的な限界を迎えることになるからだ。
その後、グローバルサプライチェーンの中で日本は完成車という舞台から退いた。中国市場でもシマノなどの部品供給で、いわば縁の下としての知名度にとどまり、完成車市場において日本ブランドの存在感は薄い。
中国では現在、シェアリングサイクルの普及は電動タイプにまで及んでいる。生活に欠かせないインフラとして自転車を所有した時代は過去のものとなった。
この変化は都市の空気感にも変化を及ぼしている。従来は価格が購入意思を決定づける主要因だったが、環境への配慮や健康志向といった非価格的要因が選択基準となっている。
都市生活はしばしば喧騒と他律的な速度に満ちている。人々は時間に追われ、景色を眺める余裕すら失いがちだ。だが、自分のペースで速度を調整できる自転車に乗ると、目前の風景が一変する。いつもの通りが、緑の並木道に、柔らかな風の通り道に変わって見えることに気づくだろう。
中国でシェアサイクル革命が始まってから10年。自転車はもはや、ただ移動のために所有する道具ではない。都市空間における人と人、人と社会、そして人と自然の関係をつなぐ「触媒」として、自転車は私たちに新たな時間の感覚と、調和を保った暮らしを取り戻させてくれるのだ。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)
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