中国政府が大学32校を新設、その狙いは何か―中国メディア

Record China    2025年6月2日(月) 21時0分

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中国政府教育部はこのほど、大学32校の設立を許可する方針を明らかにした。うち23校は職業専門学校からの格上げによる職業大学だ。新たに設立される職業大学の6割超が中国の中西部にある。

中国政府教育部はこのほど、大学32校の設立を許可する方針を明らかにした。うち23校は職業専門学校からの格上げによる職業大学で、卒業時に学士号を取得できる職業大学は、中国全国で80校を超えることになる。また、新たに設立される職業大学の6割超は中国の中西部にある。中国新聞社は、中国政府の大学新設についての狙いを紹介する記事を発表した。

今回公示された23校の職業系大学の専門分野は、素材、電気、工業、ソフトウェアなど情報、生命科学技術といった製造業の重要分野に集中している。北京師範大学中国教育・社会発展研究院の蒋艶双助理研究員は職業大学の新設について「中国は現在、ハイエンド製造業や戦略的新興産業といった先端分野の整備を加速しており、これらの産業は高度な素養と技術スキルを持つ人材を極めて強く必要とします」と説明した。

北京市科学技術研究院の申紅艶副研究員も、「現在は新産業や新たな成長分野が続々と登場する一方で、大学卒業生の就職難と企業の人手不足が並存しています。これは中国の産業構造の転換や高度化、経済の質の高い発展、さらに世界における競争力の向上を深刻に妨げています」と指摘した。すなわち、職業大学の拡充は、産業が必要とする高度な技能を持つ人材を十分に育成するための国家の重要な戦略的布陣だ。

教育部は2月、職業教育の指針として、758項目の新規または改訂の内容を発表した。その中には、職業大学においては、一般に学生に卒業論文の作成を求めず、工程改善、製品またはサービスの設計、技術またはサービスの革新、技能の展示、特許の研究開発などを卒業課題の重要な内容とすると明記された。

また、今回教育部が設置を認可する予定の職業大学の地域分布では、中西部地域の大学が14校で、全体の6割以上を占めている。中国教育科学研究院の儲朝暉研究員は、「東部地域は高等教育資源が豊富であり、条件を備えた多くの職業学校がすでに大学への格上げを終えています」と説明した。中国の各地政府は高等教育資源の配置を統合的に計画し、大学の新設を厳格に管理していく方針だ。そのため、職業大学への格上げの重点は、職業大学の数がすでにある程度まで増えた東部地域から、中西部地域へと移行しつつある。

申副研究員は、中国の優秀な大学の多くは東部沿海地域あり、そのことが中西部地域における人材育成と人材流出という長年の問題を引き起こしてきたと指摘した。今回の職業大学の中西部への集中的な配置は、大学受験時の出身地からの流出圧力を和らげ、地元での人材の定着率を高め、地域産業への安定した人材供給を実現し、「教育-人材-産業発展」の好循環を形成して質の高い地域経済の発展を実現するものであり、国家の地域協調型の発展戦略と産業人材ニーズとの深い結びつきを実現するための措置という。

湖南省教育庁の王仁祥副庁長は3月時点の取材に対して、職業教育が発達している国や地域では、高等専門学校を含む高等職業教育機関全体に占める職業大学の割合が一般に20%を超えているのに対し、中国では約1500ある高等職業教育機関のうち、職業大学の割合はわずか4%だと指摘した。このため、多くの専門家が、中国では今後も職業大学の新設が続くと考えている。

職業専門学校が職業大学への格上げを望む場合には、まずは省政府の教育部門が各種条件を満たしているかどうかを予備審査し、合格した場合には省政府の教育部門が中央政府の教育部に申請し、最終的には教育部が審査と評価を行うことになる。つまり、職業専門学校が職業大学に格上げには高いハードルがあり、決して容易ではない。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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