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21日、仏RFIは、原子力発電が完全停止した台湾の電力供給の今後について報じた。写真は高雄。
2025年5月21日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、原子力発電が完全停止した台湾の電力供給の今後について報じた。
記事は、台湾で唯一稼働していた屏東県の第3原子力発電所2号機が17日に40年にわたる運転を停止し、台湾が「脱原発時代」に入ったと紹介。台湾では1970年代に原子力発電が始まり、80年代には島内の供給電力の過半数を占めたものの、2011年に日本で発生した福島第一原発事故後に大規模な反原発デモが起きるなど脱原発の流れが進み、4カ所あった原発はそれぞれ使用期限到達後に更新せず停止する方針が民進党政権によって示されていたと伝えた。
一方で、昨年の台湾における発電構成はガスと石炭が80%近くを占め、再生可能エネルギーによる発電は12%程度にとどまっていることを指摘。電力会社は原発停止後も安定的な電力供給が可能とコメントしているものの、市民の間では電力不足を懸念する声が出ており、ある世論調査では市民の6〜7割が原子力発電の利用を支持しており、中には脱原発を推進してきた民進党の支持者さえもが含まれていることが明らかになったと紹介した。
また、野党・国民党も脱原発政策を批判しており、原発停止によって電力供給が不安定になるとともに、電気料金が上昇して市民の負担が増えると指摘したほか、原発停止ばかりを強調して確固たる代替案を持ち合わせていないとも非難していることを紹介。天然ガスや石炭による発電への依存が高まることで大気汚染リスクが高まる上、大量の電力を必要とする台湾の基幹産業である人工知能(AI)産業にも悪影響が生じると訴えていることを伝えた。
記事は、野党や産業界から原発再稼働を求める声が高まっており、その是非をめぐる議論がなおも繰り広げられていることを伝え、野党・民衆党が4月に立法院に提出した第3原発の再稼働に関する国民投票法案が今月20日に可決されたことを紹介した。この動きに対し頼清徳(ライ・チンダー)総統は同日の就任1周年演説の中で、再稼働に向けては原子力安全委員会が安全審査手続きを策定し、台湾電力がこれに基づいて自主安全点検を行うという2つのプロセスを経なければならないと述べ、政府として「原子力の安全が確保されていること」「核廃棄物の解決策があること」「社会的な合意があること」という3つの原則を踏まえた上で慎重に対応する姿勢を示したと報じている。(編集・翻訳/川尻)
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