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中国で端午節は「非遺」として盛大にプロモーションされているものの、その字面から「無形文化遺産」を意味することを直感的に理解できる日本人はそう多くないだろう。
中国で端午節は「非遺」として盛大にプロモーションされているものの、その字面から「無形文化遺産」を意味することを直感的に理解できる日本人はそう多くないだろう。略語の問題には、言語の違いだけでなく世代間のギャップも絡んでおり、たとえ人工知能(AI)が進化しても、そうした壁はなお残り続けるのかもしれない。
間もなく迎える端午節。2009年にユネスコの「無形文化遺産(中国語で「非物質文化遺産」)に登録されて以来、中国では「非遺」という略語とともに盛んにプロモーションが行われている。しかし、この「非遺」という用語は、中国語を学んだことがない日本人にとっては意味を把握するのは難しい
そもそも、この流儀で「無形文化遺産」を簡略化しようとすれば、日本語では「無遺」となってしまい、意味がわからなくなる。また、遺品、遺物、遺族、遺伝、遺言……いったい何の「遺」が「非ず」なのかと首をかしげる人がいても不思議ではない。一方、日本の国会答弁では「遺憾砲」が頻繁に飛び交うのは周知のとおり。それこそ、「非遺とは『非常に遺憾』の略語なのか?」とうそぶく人さえ現れそうだ。
言葉の壁は単に言語の違いによって生じるものではない。むしろ、それ以上に世代間ギャップが影響している場面も少なくない。インターネット上では次々とネット用語や略語が生まれ、それらが世代間の溝を広げ、相互理解を困難にしている。「yyds(永遠的神=永遠の神)」や「bdjw(不懂就問=分からないなら聞けばいい)」といったネット文化に根ざした略語を年長世代が即座に理解するのは難しいだろう。
同様に、日本でも「サブスク」「パワハラ」「推し活」といった略語が日常的に使われており、高齢者はもちろん、外国人の日本語学習者にとっても大いに困惑の種となっているのは想像に難くない。
もちろん、テクノロジーの進化によって翻訳や通訳の精度が向上し、異言語間に存在する壁が取り払われるという楽観的な見方もある。しかし、生身の人間同士の交流という観点から見れば、明治維新の時代にさかのぼると、筆談という手段を通じて文化の違いを乗り越え、日中間で深い交流が行われていた例は珍しくないとされる。
そう考えると、現代の状況が本当に進歩と向上を遂げてきたと言い切れるのかどうか、疑問が湧いてくる。
繁体字と簡体字の違いや新体字と旧体字の差異が言語と文化の理解を複雑にしている。しかしそれ以上に、世代ごとに用いられる略語やその意味の違いが日本語と中国語の間に新たな壁を生み出しつつある。果たしてAIの進化はこうした障壁を乗り越え、相互理解の福音をもたらしてくれるのだろうか。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)
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