中国の西安交通大学第一付属病院陸港院区血管外科チームがこのほど、78歳のアルツハイマー病患者のLVA（リンパ管静脈吻合）手術を成功させ、注目を集めました。

人口高齢化の加速と平均寿命の延びに伴い、中国のアルツハイマー病患者数は増加し続けています。『中国アルツハイマー病報告2024』によりますと、中国には現在1700万人近いアルツハイマー病およびその他の認知症患者がおり、アルツハイマー病患者はそのうちの約70％を占めています。データによると、アルツハイマー病の発症率は60歳以上の高齢者では5％を超えており、この割合は85歳以上の高齢者では、30％に上昇しています。

アルツハイマー病の本質は脳の病変であり、患者の記憶、思考、認知能力の低下をもたらします。国際血管外科協会委員で西安交通大学第一付属病院血管外科主任の祿韶英氏は、「アルツハイマー病の治療において、従来の方法は主に薬物と心理療法に依存している。しかし、多くの患者は長期的に薬を服用しても、病状は依然として悪化し続け、生活の質は低下し続けている。認知機能を維持・向上させるためのトレーニングや問題行動・病的症状を改善するために新しい行動を学習させるアプローチなどの心理療法は、認知機能の衰えをある程度遅らせることができるが、疾病の過程を根本的に変えることはできない。そのため、アルツハイマー病には新しい治療方法が必要だ」と説明しました。

LVA手術は頸部にリンパ管と静脈の吻合通路を設けることで脳脊髄液のリンパドレナージュを改善し、頭蓋内圧力を下げ、病気の原因となるタンパク質の排出を促進することでアルツハイマー病の病状の進展を遅らせ、さらには逆転させることで、この病気の中期から後期の患者に対する外科的手術の可能性を提供しました。

説明によると、LVA術は当初、アルツハイマー病の治療ではなく、頸部リンパ浮腫の治療に用いられていた方法でした。医師が顔面リンパ浮腫の患者を治療していた際、患者のアルツハイマー症状が緩和されたことを偶然に発見し、この現象は医学界がLVA手術によるアルツハイマー病治療を模索するきっかけとなりました。

中国国内の複数のセンターのデータによると、LVA手術の後、患者のミニメンタルステート検査（MMSE：認知機能の低下を簡易的に評価する神経心理検査）のスコアは30～50％上昇し、一部の患者の認知機能は手術前より明らかに改善され、手術の翌日には活動を再開することができ、入院期間は5～7日に短縮されました。

専門家は、LVA手術は患者とその家庭に希望をもたらしただけでなく、医学界にもアルツハイマー病の治療に対する新たな考え方を提供し、従来の薬物治療を補完する重要な治療方法となることが期待され、薬物による治療効果が十分でない中度から重度の患者に、より顕著な臨床効果をもたらす可能性があると考えています。（提供/CRI）