「中国日系企業における休廃業の動向」調査、日常生活に身近な業種の休廃業率が上位に

Record China    2025年3月26日(水) 18時0分

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「中国日系企業における休廃業の動向」調査で、日常生活に身近な業種の休廃業率が上位に入った。写真は上海。

法人会員向けに与信管理クラウドサービスを提供するリスクモンスターの連結子会社である利墨(上海)商務信息咨詢 (リスクモンスターチャイナ)は、利墨リスモン調べ「中国日系企業における休廃業の動向」調査レポートを発表した。

「利墨リスモン調べ」は、リスクモンスターチャイナが独自に収集した中国の日系企業データベースや業界情報を基に調査・分析を行ったレポート。

今回の調査は、2023年3月時点の日本企業出資による中国企業およびグループ企業2万3202社(※1)を対象に、25年2月時点で休廃業に至った日系企業2163社(日系企業全体の9.3%)を集計した。

※1 中国全土で登記されている日本企業出資の中国企業およびそのグループ企業(株式保有率50%以上の会社とその会社が支配している会社(50%以上)をグループ会社とする)。営利活動が許可されていない代表処は休廃業の判断が難しいため除外。なお、「代表処」とは中国で登記されている外国企業の法人の一種で、一般企業と異なり営利活動が禁止されている。

■調査の背景

23年の中国への外資投資額は直近10年間で初めてマイナスとなった。グローバル経済の低迷や各国のサプライチェーン安全性確保対策、中国における人件費などのコスト上昇、米中貿易戦争などを背景に、外資系企業が中国国内の工場閉鎖や事業撤退を進めている。このような状況を受け、日系企業の休廃業の実態を明らかにするために、本調査を実施した。

■調査結果サマリー

本調査では、中国に進出後、休廃業に至った日系企業について、日本親会社別でひもづけた子会社の休廃業社数や業種別・地域別の分布を分析した。

1.業種別の休廃業社数

休廃業に至った日系企業で最も多かった業種は「卸売業」(521社)、次いで「小売業」(473社)、「ビジネスサービス業」(284社)で、これら3業種が全体の約60%を占めた。この結果は24年3月に発表した「第5弾 中国日系企業の業種分布ランキング」の業種別進出数とおおむね一致した。(表1)

「飲食業」(休廃業率21.4%)と「小売業」(19.2%)が特に高い休廃業率を示した。一方、「自動車製造業」(休廃業率3.3%)と「金属製品業」(4.8%)は進出別企業が多いにもかかわらず、休廃業率は低水準だった。

中国日系企業の業種別休廃業社数(表1)

※「業種別進出企業ランキング」は24年3月発表

「第5弾 中国日系企業の業種分布ランキング」に基づく

※休廃業率=休廃業企業数/業種企業数

2.親会社別の休廃業社数

日本の親会社別で集計した結果、1位は「株式会社ローソン」(202社)、2位は「株式会社セブン-イレブン・ジャパン」(62社)、3位は「株式会社ベネッセホールディングス」(56社)となった。(表2)

上位10社は小売業と飲食業がそれぞれ3社ずつを占め、休廃業しやすい傾向が見られた。これらの業種はチェーン展開を行う企業が多く、消費者の嗜好や流行に左右されやすい特徴がある。エリアの衰退や消費者の移動に伴う店舗の閉鎖や移転が頻繁に発生し、それらが登記上の休廃業件数増加の一因となっている。

中国日系企業の親会社別休廃業社数(表2)

3.地域別の休廃業社数

地域別では、「上海市」(561社)が最も多く、次いで「広東省」(245社)、「江蘇省」(245社)が続き、これらの3地域で全体の約50%を占めた。(表3)

上位10地域の中では、四川省(休廃業率15.5%)と重慶市(15.5%)が特に高い休廃業率を示した。四川省の日系企業数のうち46.5%、重慶市では40.7%が小売業・飲食業に属していることが影響していると考えられる。

中国日系企業の地域別休廃業社数(表3)

■信用喪失被執行人リスト登録企業

休廃業に至った日系企業のうち、信用喪失被執行人リスト(通称「ブラックリスト」)に登録されている企業は13社(0.6%)に上り、これは日系企業全体の割合(0.16%)の約4倍に相当する。ブラックリストは、賠償金の支払いなどの義務を履行しない企業・個人を対象に、中国全土の各級人民法院(裁判所)が公式サイトで公開しているリスト。ブラックリスト登録企業は政府入札への参加や銀行融資のほか、行政承認や政府支援、資格認定などの公的手続きが制限される。資産が凍結され、厳しい懲戒措置を受けるため、実質的な経営継続が困難になる。

そのため、取引先のリスク管理において、ブラックリスト登録状況の事前確認が重要になる。

これらのデータを踏まえ、日系企業は今後の中国市場戦略を慎重に見直し、事業環境の変化に柔軟に対応することが求められる。状況に応じた迅速な対応が企業の生き残りに直結する。

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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