ほぼゼロ磁場の環境において、氷点下20℃−130℃の極端な温度範囲で、微生物が7日間連続で生存することに成功した。上海交通大学の科学研究チームはこのほど、宇宙環境地上シミュレーターで画期的な実験を実施し、その成果は中国初のものとなった。光明日報が伝えた。

それにとどまらず、地球の磁気圏における磁気リコネクションやホイッスラー波と粒子の相互作用などの実験も宇宙環境地上シミュレーターで行われている。

宇宙環境地上シミュレーターはハルビン工業大学と中国航天科技集団が共同で建設した中国の宇宙分野初の国家重要科学技術インフラだ。同シミュレーターは真空、高低温、帯電粒子、電磁放射、宇宙塵、プラズマ、弱磁場、中性ガス、微小重力の9種類の宇宙環境要因のシミュレーションが可能で、「地上宇宙ステーション」と称される。

ハルビン工業大学宇宙環境・物質科学研究院の李立毅（リー・リーイー）院長は、「宇宙環境地上シミュレーターは2024年2月に国の検収に合格し運用開始してから1年にわたり、中国航天科技集団や中国電子科技集団を含む累計150以上のユーザーにサービスを提供してきた。1000種類以上の宇宙部品の研究開発に試験サービスを提供し、中国の複数の重要宇宙飛行プロジェクトの順調な実施を支えている」と説明した。

中国科学技術大学の陸全明（ルー・チュエンミン）教授は、「従来はわずか数十センチの小型装置で関連検証を行うしかなかったが、ここの装置は数十倍に拡大し、より複雑な物理プロセスの研究が可能になった。研究成果をサポートしてくれただけでなく、研究の視野も広げてくれた」と感慨深げに語った。

ハルビン工業大学材料科学・工程学院極端環境材料・部品技術革新センターチーム研究員の楊剣群（ヤン・ジエンチュン）氏は、「かつては多くの実験を他地域、さらには海外で行う必要があった。現在は地上宇宙ステーションが身近にあることで、科学研究がより便利になったほか、極端環境材料・部品技術分野の人材育成にも有利だ」と述べた。

宇宙環境地上シミュレーターは中国の科学研究機関のみならず、多くの海外ユーザーを引き付け、高く評価された。いずれも装置を高く評価している。この「地上宇宙ステーション」は世界の科学者が共に宇宙を探査するための「地上の架け橋」になった。（提供/人民網日本語版・編集/YF）