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ベトナムで中国製旅客機のC909(写真)を導入する動きが加速している。同国民間航空局(CAAV)は3月1日、12日、13日に、関連する作業の進展を紹介する長文を発表した。
ベトナムで中国製旅客機のC909を導入する動きが加速している。同国民間航空局(CAAV)は3月1日、12日、13日に、関連する作業の進展を紹介する文章を発表した。
C909は、中国商用飛機(COMAC)が開発し製造する地域路線用旅客機で、2016年28日に四川省成都から上海までの初の商業飛行を行った。基本タイプでは客席数が最大で90席だ。22年12月には、中国以外の航空会社として初めて、インドネシアの格安航空会社であるトランスヌサに引き渡された。同機には当初ARJ21という名称がつけられていたが、24年11月にC909への名称変更が発表された。
民間航空機の飛行には、安全性や環境適合性の基準を満たす当局発行の型式証明が必要だ。乗り入れ国それぞれで型式証明を取得せねばならないが、米連邦航空局(FAA)や欧州航空安全機関(EASA)の型式証明は信頼性が極めて高いとされ、FAAやEASAの型式証明が取得済みであれば、他国の型式証明の取得も極めて容易になることが多い。また、発展途上国や新興国では自国の検査能力に限界があるので、FAAやEASAの型式証明を取得していないと型式証明の取得がとりわけ困難になる。
CAAVによると、ベトナムでは民間航空機についてFAA、EASA、またはベCAAVによる型式証明が必要とする規則が適用されてきた。ただし別の文書によりFAAまたはEASAの型式証明がないと、CAAVは型式証明を授与しなかった。中国製旅客機はFAAやEASAの型式証明を取得していない。ベトナムはそのため、C909の導入を可能にするための法整備を実施する。
また、FAAまたはEASAによる型式証明の手続きは長期間がかかる。エアバスA350に対する EASAの型式証明も、ボーイングB787に対するFAAの型式証明も8年間を要した。CAAVは、従来の方法ではベトナムの航空会社が「科学技術の分野で世界的能力を持つ他国が設計・製造した航空機をベトナムの航空会社が利用する機会が制限される」などとして、C909を早く導入できる仕組みの構築を示唆した。
CAAVによると、1月15日から24日にかけて実務代表団を中国に派遣して、C909の技術、運用、保守、設計、製造、試験基準、認証プロセスについて調査した。中国における型式証明のプロセスついては「FAAの規則と類似している」と表明した。
また、C909は累計飛行時間は55万時間以上、離着陸回数は33万回以上、輸送した乗客数は累計1900万人以上で、「就航以来、事故や重大なインシデントは発生していない」などと、C909の実績も高く評価した。
ベトナムがC909の導入を急ぐ理由には、ボーイングの大規模なストライキなどにより航空機の納品に遅れが目立つ状態で、ボーイング機やエアバス機を注文しても納品は10年後になるため、旅客機が大きく不足する事態を念頭に置いているとされる。CAAVはさらに、「プラット・アンド・ホイットニー製エンジンのリコールの影響は、ベトナムの航空機運航に重大な影響を及ぼした」として、機体だけでなくエンジン関連でも導入の規制を緩和する可能性を示唆した。
香港英字紙のサウスチャイナ・モーニング・ポストは国際航空業界の専門家であるヒュー・リッチ氏の見解として、「最近ボーイングで発生した一連の安全問題や東南アジアの需要増加を考慮すると、東南アジアの航空会社はCOMAC機の導入をより積極的に検討するだろう」と紹介した。リッチ氏によると、東南アジア、インド、中国の旅客航空輸送は世界で最も急速に成長しており、COMACはこれらの市場に進出できれば、ボーイングとエアバスによる旅客機の製造販売の寡占状態にも挑戦できるようになる可能性があるという。
南アジア問題の専門家であるオーストラリアのニューサウスウェールズ大学カール・セイヤー教授は、ベトナムがCOMACの機材を認可すれば、24年から改善を続けている中越両国の経済関係がさらに強化されるとの見方を示した。セイヤー教授は、ベトナム側の現在の考え方を「中国の善意を観察している状態」と述べ、米国の追加関税政策は多くの国々に不安を与えていると指摘した上で、ベトナムは米国に接近することも中国に接近することも可能な状態を狙っているとの考えを示した。(翻訳・編集/如月隼人)
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