2025年2月24日、香港メディア・香港01は、上海市で人工知能（AI）を使って架空の女性を生成して男性に交際を持ちかけ、約1000人から金銭をだまし取っていた詐欺グループが摘発されたと報じた。

記事によると、上海市に住む男性が昨年8月、「知り合った女性にお金をだまし取られたかもしれない」と警察に通報した。男性によると、通報する2カ月前に動画プラットフォームを通じて女性と知り合ってすぐに意気投合し恋愛関係に発展。女性がアパレルショップを開いたというので花輪代を送金すると、その後「家族が病気」「経営するアパレルショップの仕入れ資金が必要」といった理由でさらに計20万元（約400万円）の金銭を要求された。女性はすすんで身分証明書や家族の診断書、仕入れ伝票を見せて男性を信じ込ませようとしたものの、男性は一度も会おうとしないことに疑問を感じ、警察に通報することを決めたという。

警察の捜査により、昨年10月と12月にも同区で同じ手口による被害が確認され、チャット履歴や送金記録、資金の流れを分析した結果、詐欺グループの存在が明らかになった。

今年1月に同区の警察当局が広東、福建、山東の各省で一斉摘発を実施し、詐欺グループの拠点から犯行に用いられたと見られるスマートフォン60台余りや、SIMカード250枚以上、手口を記した「台本」、中国各地の約1000人に及ぶ「ターゲットリスト」が押収された。被害者は1000人近くに上り、被害総額は200万元（約4000万円）に及ぶとみられている。

記事によると、詐欺グループはAIで架空の女性を生成し、動画プラットフォームに詐欺用の動画を投稿する「集客担当」、被害者とチャットをする「営業担当」、偽のチャット記録を作成する「画像加工担当」など厳格な役割分担のもと、組織的に詐欺を実行しており、巧妙なかつ整然とした「仕事」により多くの被害者をだましていたという。

一斉摘発の結果、グループのメンバーである4人の容疑者が詐欺容疑で逮捕されたほか、6人が刑事拘留などの措置を受けている。上海市公安局閔行分局の警察官は「詐欺グループはAIを用いた動画やネット素材を利用し、大量のターゲットに詐欺を仕掛けていた」と述べ、捜査の過程で、容疑者らがAI生成の動画やインターネット上の素材を組み合わせ、無差別に詐欺を仕掛けていたことが判明したと明かした。

警察当局はこの件について、ネット上での交際には十分に注意し、安易に金銭を送らないよう注意を呼び掛けているという。（編集・翻訳/川尻）