従来型の自動車修理業界が「前門の虎、後門の狼」状態に―中国メディア

Record China    2025年2月9日(日) 10時50分

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中国では従来型の自動車修理業界が「前門の虎、後門の狼」状態だ。EVなどの普及でエンジン車の取り扱いが減り、EVを扱う修理店に転換しようとしても、技術面や契約上の問題があり、容易ではないという。

中国ではエンジン車を扱う従来型の自動車修理業界が「前門の虎、後門の狼」状態だ。電気自動車(EV)など新エネルギー車(新エネ車)の普及で、エンジン車の取り扱いが減って業績が悪化し、またEVを扱う修理店に転換しようとしても、技術面や契約上の問題があり、容易ではないという。一方で、新エネ車の修理については人材が極端に不足している。中国メディアの中国新聞社が伝えた。

自動車部品の製造販売などを行う南京愛福路汽車科技が設立した、ビッグデータを利用して自動車市場の動向を研究するF6大数拠据研究院が発表した関連白書によると、2024年の自動車アフターサービス市場の産業規模は前年比で1%減少したとみられる。取り扱い台数は業界全体として前年と比べて横ばいだが、半数以上の店舗が前年比でマイナス成長になった。業務面では、修理やタイヤ販売数は前年比で4%増だったが、それ以外の業務は減少した。また、店舗の54%で取り扱い台数が前年よりも減り、13%では25%以上の減少だった。

また、自動車の持ち主が年間で自動車を維持するために投じる金額は22年から24年まで、1台当たり2500-2600元(約5万2000-5万4000円)の間で横ばいだった。24年には車の持ち主の72%が、自動車の維持に投じる金額を前年に比べて増やさなかった。自動車保有者が維持のために投じる金額が伸びないことも、自動車のアフターサービス業界の成長を抑制する要因になっている。

中国には22年時点で約90万社の自動車修理店があったが、多くが撤退した。今後5年以内に自動車修理店の半数が閉店する可能性があるとする予測も出ている。特に苦境にあるのは中小の自動車修理店で、途虎養車、天猫養車、京東養車などの新興のインターネット自動車修理チェーンに加盟する動きが進行している。

F6大数拠据研究院によれば、24年上半期には自動車のアフターサービスを手掛ける中大規模のチェーン店舗の自動車取り扱い台数は前年よりも5%増加し(洗車を除く)、小規模のチェーン店舗の取り扱い台数は4%減少した。店数が増えているために、1店舗あたりの台数は前年とほぼ同じだった。規模が大きい場合には状況が比較的良好だが、規模が小さければ苦しい経営を強いられていることになる。

関連する業者の一人は、「今後しばらくは、エンジン車の保守修理が自動車修理店の主力業務であり続けますが、徐々に新エネ車の修理市場に転換せざるをえません」と述べた。市場に新しく投入された新エネ車も、月日が経過することで使用期間は必然的に長くなる。そのことで、新エネ車の修理業務の比重が増加するのは必然だ。

しかし、従来型の修理店が新エネ車に対応するようになったとして、売り上げを維持できるかどうかは別問題だ。ドイツに本拠を置く大手経営戦略コンサルタントのローランド・ベルガーはEVについて、タイヤ、衝撃吸収器、冷却液などの消耗品で自動車修理店の売り上げにより大きく貢献する一方、エンジンの点検やオイル交換などの売り上げは消滅すると指摘。またEVではブレーキにエネルギー回生システムが導入されているので、ブレーキ関連の売上高も減少すると指摘し、総合的に見れば、自動車を維持するために必要な費用は34%程度減少するとの予測を示した。

EVでは、電池、電動モーター、電子制御の「3電システム」が最も重要な役割を果たしており、保守点検の中核でもある。一方でEVを製造する自動車会社は、自社製の自動車の修理保守は系列下の4S店でのみ行うとの規則を設けている。4S店とは自動車の販売、修理、部品販売、情報関連の全てを扱う店舗のことだ。

仮に、系列4S店以外の自動車修理店がEVの修理を行おうとしても、部品には高度な技術が投入されており、さらに部品のほとんどが特定車種の専用品だ。車載チップなどが含まれる場合もあり、メーカーの系列の外で部品を見つけることは難しく、仮に見つかったとしても、いくつかの機能が使用できなくなる可能性がある。そのため、EVなど新エネ車の場合、メーカーの系列外の修理店で扱うケースはほとんどないという。

一方で、新エネルギー車は高度に自動化された内部構造を持ち、従来の自動車修理知識に加え、回路や電子に関する知識も必要だ。このため、人材が極端に不足している。現実問題として、EVの保有台数が増加し続ける中で、多くの所有者が「車を買うのは簡単だが、修理するのは難しい」と感じている。修理費用が高い、修理に時間がかかる、修理拠点が少ないといった問題が依然として存在している。

ただし業界の専門家の間には「アフターサービス市場は5年遅れて発展する」との法則が新エネ車にも当てはまり、アフターサービスをめぐる状況は改善されていくとする見方もある。また、交通運輸部や生態環境省といった中央政府関連部門がこれまでに連名で発表した「自動車修理技術情報公開実施管理法」は、新エネ車の製造企業はその製品に関連する修理技術資料を公開することを義務付けた。24年4月1日施行の国家標準である「汽車維修業経営業務条件」も、新エネ車修理に関する新たな要件を追加した。このような政府の対応は、新エネ車修理業界の健全で規範的な発展を促進すると期待されている。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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