Record China 2025年2月9日(日) 16時0分
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1日、中国メディアの騰訊網は「中国アニメはなぜ3Dが主流なのか?。一方、日本アニメはなぜ2Dが多いのか?」と題した記事を掲載した。写真は哪吒之魔童閙海。
2025年2月1日、中国のポータルサイト・騰訊網に「中国アニメはなぜ3Dが主流なのか?。一方、日本アニメはなぜ2Dが多いのか?」と題した質問があり、これに中国の登録経済士(経済・経営・財務・市場分析などの分野で専門的な知識を持つ国家資格者)で、登録積算士(建設・インフラプロジェクトにおけるコスト管理や積算を専門とする資格者)のネットユーザーが回答を投稿した。
回答者は、「この現象は非常に興味深い。これは、両国の産業基盤、市場の動向、政策や資本戦略など、さまざまな要因の違いによって生じていると考えられる」とし、「中国のアニメ産業は発展が遅く、伝統的な2Dアニメにおいては人材や制作体制が日本に及ばない。しかし、3Dアニメのコンピュータグラフィックス(CG)を活用し、手描き技術の不足を補いながら急速に発展してきた。3Dアニメは初期のモデリングにコストがかかるものの、キャラクターモデルを使い回せるため、長期的なIP(知的財産)展開に適している。『哪吒(なた)』シリーズのような作品で、続編制作のコストを抑えられる点が大きな利点となる」と分析した。
一方で、「日本は高度に発展した2Dアニメ制作の産業体系を持つ。原画、作画、撮影などの工程が細かく分業化され、長年にわたり培われた『職人文化』が根付いている。これが、日本のアニメ業界における競争力の源であり、他国が容易にまねできない理由である。さらに、日本の視聴者は2Dアニメを高く評価しており、日本のアニメ市場で求められるさまざまなジャンルに対する2Dの持つ多様な表現力を好む傾向がある。そのため、日本では3Dアニメはあくまで補助的な存在にとどまっている」と説明した。
また、「中国のアニメ市場は、映画での興行収入を主な収益源としており、観客を引きつけるための派手な視覚効果が求められる。3Dアニメはダイナミックな映像表現が可能であり、特に家族層や若年層をターゲットとした作品では『ブロックバスター効果』(特定の人気作品に大量の予算を投入し、企業全体の売上を伸ばす戦略)を生みやすい。さらに、3D技術は中国の神話や歴史を再構築するのに適しており、『白蛇:縁起』、『姜子牙』、『哪吒』シリーズなど、多くの3Dアニメが『国潮』と呼ばれる中国の伝統文化を現代的にアレンジするブームに合致している」と論じた。
日本のアニメ市場については「テレビアニメが中心であり、2Dアニメの制作は効率が良く、コスト管理もしやすいため、週刊放送に適している。また、アニメキャラクターを活用したグッズ販売が重要な収益源となっている日本では、2Dキャラクターの方がグッズ化しやすく、コンテンツの消費循環を生み出しやすい。日本アニメはキャラクターの表情や動作の繊細な描写を重視しており、2Dの手描きアニメは誇張した変形や感情表現において優れた表現力を持っている」と評した。
さらに、「両国の政策や資本(投資)の考え方の違いも、それぞれのアニメ産業の発展に異なる影響を与えている」と言及。「中国では、補助金などの施策を通じて3Dアニメの発展を奨励しており、例えば、『哪吒之魔童閙海』には国有資本(国の投資)が関与している。また、3Dアニメの工業化プロセスは投資を呼び込みやすく、ゲームやVRなどの産業とも連携しやすいが、日本アニメは出版社や玩具メーカーなどによる出資が一般的で、低リスクな2Dアニメのプロジェクトを優先する傾向がある。3Dアニメは実験的な試みとして制作されることが多いが、まだ主流にはなっていない。日本のアニメ業界では監督やアニメーターが中心的な役割を担い、伝統的な手描きアニメは『芸術性の象徴』として認識されている。そのため、3Dアニメはしばしば『魂が感じられない』と批判されることもある」と述べた。
回答者は、「中国の2Dアニメにも将来性はある。例えば『羅小黒戦記』や『霧山五行』のような優れた作品も生まれている。しかし、人材不足や収益モデルの限界から、当面は3Dアニメが主流であり続けるだろう。日本も3D技術を取り入れつつあり、『宝石の国』のように3Dを手描きの2Dアニメへ寄せた『セルルック』と呼ばれる手法を活用し、少しずつ作風の枠を超えた表現が実現されつつある」と紹介した。
その上で、「近年、中国は3D技術の発展を加速させ、制作設備の普及を推進してきた。映画市場での視覚効果への要求の高さに対し、3Dアニメの表現する壮大なスケールの世界観によって観客を劇場に引きつけやすいほか、ゲーム産業との親和性も高く、IP展開の面で有利である。初期投資こそ大きいが、制作プロセスの最適化が進めば、効率を向上させ、コストを削減することも可能である」とした。
一方、「日本のアニメ産業は長い歴史を持ち、宮崎駿監督作品がその地位を確立したように確固たる基盤を持っている。2Dアニメの制作プロセスの効率化が進み、多様なプラットフォームにも適応できている。手描き作業による人件費が高く、日本の高品質な2Dアニメは制作期間が長くかかるものの、2Dアニメの繊細な表現によって、感情の機微を描き、年齢を問わない安定した視聴者のニーズを満たせる強みもある」と論じた。
そして、「中国の3Dアニメと日本の2Dアニメの選択はさまざまな要因によって決定されており、そこにはそれぞれの合理的な背景や発展の道筋がある。したがって、3Dアニメと2Dアニメのどちらが優れているかという優劣は存在しない。個人的には、中国の3Dアニメは『工業化と技術革新』に向かい、日本の2Dアニメは『伝統と芸術性』を維持する方向へ進んでいると考える。この構図は、現在の両国に対する世界のイメージとも合致している上、どちらも独自の魅力を持ち、世界中の観客に多様な選択肢を提供できている点において、良いことだといえるだろう」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)
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