2025年1月13日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、タイで当局から身柄を拘束されているウイグル人が救助を求めていると報じた。

記事は、タイのバンコクで拘束されている43人のウイグル人がこのほど公開書簡を発表し、「私たちは投獄される可能性があり、命を失う恐れさえある。手遅れになる前にこの悲惨な運命から救い出してほしい」と訴え、人権団体や各国に介入を求めたと紹介。ある拘束者の家族が「世界各国の政府はこれを知っているはずだが、私は彼らが中国からの圧力を恐れ、見て見ぬふりをしていると思う」と語った。

また、米AP通信が取得した録音内容を踏まえ、「タイの移民官が8日、拘束されているウイグル人に対し強制送還を希望する書類への署名を求めた。過去10年に送還されたウイグル人も似たような書類に署名させられていたことから、被拘束者は恐怖を覚え署名を拒否している」と報じたことを紹介している。

さらに、匿名のタイの議員やタイ政府関係筋の話として「タイ政府内でウイグル人を中国に送還することが最近議論されているが、正式な命令はまだ出ていない。タイ政府は今年が中国との国交樹立50周年にあたる上、政権移行期にある米国政府がこの問題に強く反応しないだろうと判断しているようだ」とも報じられたことを紹介する一方で、バンコクの中国大使館報道官が「報道は中国に対する中傷。特定の国々が政治的目的で中国を悪意を持って攻撃している」と反発したことを伝えている。

記事は、タイ政府が14年にマレーシアとの国境付近で300人以上のウイグル人を拘束し、翌年109人を中国に送還したことが国際的に強く非難されたとした上で、現在タイ国内の移民拘置所には43人のウイグル人が拘束されており、5人が脱走未遂のため刑務所に収監されているとの情報を報道。前述のタイ政府関係筋の話として「拘束されているウイグル人全員が国連難民高等弁務官事務所に難民申請を提出している。国連機関は申請を受け取ったが、タイ政府は依然としてこれらのウイグル人への訪問を禁止している」と伝えた。

そして、国連難民高等弁務官事務所の報道官が「私たちは事実関係が確認されていない報道を受け、すぐにタイ政府と確認を取った。タイ政府は私たちに報道内容とは逆の状況を保証した。私たちは引き続きタイ政府に難民を送還しない義務を履行するよう促し、拘束の代替案を提案している」とコメントしたことを紹介した。（編集・翻訳/川尻）