中国・河南省南陽市桐柏県で、保険金をだまし取ろうとして故意に自動車の自損事故を起こした男が死亡する事件があった。中国国営の中央テレビ（CCTV）が19日付で報じた。

報道によると、2月12日午後7時すぎ、同市桐柏県の警察に「交通事故があったようだ」と目撃者から通報があった。警察と消防が駆けつけると、自動車が街路樹に正面から衝突した状態で止まっていた。運転席にいた男性は、たまたま通りかかった通行人によって救助されたが、その後、現場で死亡が確認された。エアバッグは開いていなかったという。

警察が到着した際、通報した目撃者はすでに現場にいなかった。警察が当人を探し出して話を聞くと、「茶葉を買いに行く途中でたまたま事故を目撃した」と説明した。しかし、警察が捜査したところ、この目撃者は死亡した運転者のいとこにあたる人物で、事故当時、助手席に乗っていたことが発覚した。

現場の状況もブレーキ痕がないなど、通常の事故としては不自然な点が多数見つかったほか、救助に当たった通行人は自動車修理会社を経営し中古車の販売なども行っていたが、事故を起こした車は同社から購入したものだということが分かった。

警察がさらに捜査を進めると、3人の接点が次々と浮上し、保険金を目当てに協力して事故を起こしていたことが発覚。運転者と通報者が乗った車が故意に事故を起こし、別の車で追走していた修理会社経営の男が、事故直後に通行人を装って救助に当たっていたという。3人は過去にも同様の手口で90万元（約1900万円）余りの保険金をだまし取ったとみられている。

中国のネットユーザーからは「自業自得」「道徳を失った末路」「常習犯だったようだが、今回は手が滑ったな」「罰が下った」「ドラマで似たようなことがあった時はうそくさいと思ったけど、実際にあるとは」「（事故が旧正月の時期だったことから）年越しの準備のために策を弄（ろう）して金を手にいれようとするやからが出てくるんだ」「命は大切にしましょう」などのコメントが寄せられている。（翻訳・編集/北田）