北京外大、魯迅と内山完造が橋を渡した中日文学交流で国際学術シンポ

CRI online    2024年10月31日(木) 9時30分

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中国の文豪魯迅と日本の書店主・中日友好運動の先駆者である内山完造との絆にフォーカスした学術シンポジウムが26、27の両日、北京外国語大学日本学研究センターで開かれました。

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中国の文豪魯迅(1881-1936)が留学のため仙台に赴いてから今年で100年となるのに当たり、魯迅と日本の書店主・中日友好運動の先駆者である内山完造(1885〜1959)との絆にフォーカスした学術シンポジウムが26、27の両日、北京外国語大学日本学研究センターで開かれました。同大学内では、「内山完造と内山書店:文化交互の津梁」と題する写真展も合わせて行われています。

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内山完造の甥で、東京内山書店の内山籬(まがき)取締役会長(79歳)が長男の雄氏、次男の深氏(東京内山書店現社長)を伴って日本から出席し、中国国内からは北京魯迅博物館の姜異新副館長、中国で「内山書店」を運営する天津出版伝媒集団の張雲峰副総経理ら、関係者が参加しました。

魯迅博物館にて(右から内山雄・籬・深の各氏)

同大学日本語学部学部長・北京日本学研究センターの周異夫主任教授は開幕式で、魯迅と内山完造の友情は「中日文化交流史上の美談にとどまらず、国境を越えた友情と相互信頼の象徴でもある」「内山書店は書店にとどまらず、文化交流の中心、ブレーンストーミングを行う場、友情を繋ぐ懸け橋でもあった」と評価し、シンポジウムを通じて、「歴史に対する理解を一層深め、関連分野の学術研究を推進し、両国の人々の相互理解と友情の増進に繋げでいきたい」と開催に寄せる思いを述べました。

北京外国語大学日本語学部学部長・北京日本学研究センターの周異夫主任教授

シンポジウムでは神奈川大学、東京大学、北京外国語大学、上海外国語大学、北京科技大学などの両国の学者ら十数人による最新研究成果の発表、「内山書店研究の現状と展望」と題した特別フォーラムが開かれたほか、北京魯迅博物館と中国現代文学館の見学も行いました。

東京大学・河野龍也准教授

研究発表の部で、東京大学の河野龍也准教授は内山完造が作家・佐藤春夫に送った未公開の書簡を披露し、佐藤春夫が日本での魯迅文学の普及に果たした貢献を振り返り、佐藤の魯迅に対する理解について分析しました。北京第二外国語大学の趙京華教授は、内山完造の逝去から今年で65周年となることに着眼して、「昨今の流動する東アジア情勢を背景に、どのような状況に置かれても両国の民間往来の促進を堅持するという内山完造の精神が深く偲ばれ、しっかりと受け継がれていくべきものだ」と訴えました。その上で、内山書店と内山完造に関する文献史料を読み解く中で、「国同士の政治・外交関係には突然の変化や、紆余曲折もあれば衝突が起きたりもする中、民間交流さえ途切れなければ希望がある」ことが「一番の気づき」だったと打ち明けました。

北京第二外国語大学・趙京華教授

特別フォーラム「内山書店研究の現状と展望」の部では北京外国語大学副教授馬場公彦が日本の出版人と魯迅関係について語り、神奈川大学の孫安石教授は同大学の「内山完造研究会」の歩みを紹介しました。シンポジウムの企画者でもある北京外国語大学の秦剛教授は、内山完造・嘉吉兄弟が所蔵していた中国の作家や文人からの書簡など、初めて明るみに出された資料を紹介しました。また、内山籬氏・深氏もそれぞれ、歴史と現在についてプレゼンテーションを行いました。

「伯父内山完造――写真でたどるその生涯」を説明する内山籬さん(左上)

籬氏は、父・嘉吉が整理した「内山完造写真一代記」の写真を使って内山完造の生涯を紹介しました。

「現在の内山書店」について講演する内山深さん(左上)

深氏は、天津伝媒出版集団の傘下にある「天津内山書店有限公司」に商標使用を許可した経緯を紹介し、現在も続いている「書店という場所での日本と中国の文化交流に注目するよう」声高らかに呼びかけました。

北京魯迅博物でのフィールドワーク

内山完造が1917年から1945年まで上海で経営していた内山書店は、中国の左翼作家に対する活動支援、中日文化人サロン「文芸漫談会」の開催、魯迅文学の日本での翻訳・出版などで果たした役割などが高く評価されてきました。近年、中日両国の学界で内山書店や内山完造に関する研究が徐々に増えており、2024年4月には、神奈川大学教授の孫安石、柳澤和也両氏の編著による『内山完造研究の新展開』が東方書店から出版されたことも、今回のシンポジウムの背景と見られます。(提供/CRI・取材/王小燕)

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