博士号4種を取得などの「学術界のスーパー若者」に疑惑噴出―中国メディア

Record China    2024年10月13日(日) 16時0分

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中国では研究機関に採用された趙子健氏(写真)が、29歳で4種の博士号を持ち22もの学会の会員になっているとして注目を集めた。ところが趙氏の「肩書の実質」については強い疑惑が持たれるようになった。

中国では1995年8月生まれ趙子健氏が、29歳の若さですでに4種の博士号を取得して22もの学会の会員になっているとして注目を集めた。ところがしばらくすると、趙氏の「肩書の実質」について強い疑惑が持たれるようになった。中国メディアの都市時報などが伝えた。

趙氏の肩書が注目を集めたのは、内モンゴル民族文化芸術研究院が、採用した研究者としてプロフィールを公開したからだった。肩書には芸術学博士、心理学博士、教育学博士、聖書研究博士を取得したと書かれており、現在の身分はアジア人文社会研究所所長兼教授で、研究分野はメディア文化、芸術科学技術、消費者行動、スマート情報伝達と書かれていた。

さらに北京民芸無形文化遺産研究院研究員、IICSE大学学術監督指導員、中国心理学会会員、中国リハビリテーション医学会会員、中国薬学会会員、中国抗がん協会会員など、22の組織のメンバーと書かれていた。

同研究院の殷福軍院長は10日の時点で取材に対応して、博士号については「一つは中国留学サービスセンター(CSCSE)の認証を得ている。一つは認証申請中で、残りの二つは認証を得ていない」と説明した。

CSCSEは中国政府に直属する組織で、中国人が海外で取得した学位の認証業務も行っている。認証を取得できれば、中国国内での就職などについて、中国政府が発給した学位と同様の扱いになる。趙氏は自らのプロフィールについて、4つの学位を紹介したが、中国国内で認められる学位は今のところ1つしかないことになる。

殷院長は趙氏について、「無給の兼任研究員として採用しました。採用してまだ10日です」と説明した。さらに、趙氏の学会会員などの身分については、「完全に確認したわけではありません」と説明した。中国メディアの澎湃新聞が、中国抗がん学会に問い合わせたところ、「会員名簿に趙子健氏の名は見当たらない」との回答を受けたという。

中国メディアの極目新聞によると、内モンゴル民族文化芸術研究院は趙氏を、韓国の延世大学のポストドクター研究員を経て準教授になったとして採用した。ところが輸入仲介業者のサイトには、同大学のポストドクター研究員になる広告があり、中国国内でオンラインによる授業を受け、延世大学で開催される学術フォーラムに出席しさえすれば、ポストドクター研究員を修了したことになる。在籍期間は12カ月で、費用は20万元(約420万円)弱という。また応募に際して、それ以前に在籍した大学での成績を示す指標のGPAの提出も求められていない。

極目新聞は、その他にも「学歴が速やかに取得できる」「中国政府教育部の認証も受けられる」とする留学の広告は多く、真剣に学ぶ意欲はなく、自分にすぐにでも箔をつけたい若者を引きつけていると指摘した。そして、金銭を投じて学歴を安直に取得する風潮がはびこり、企業側に「学齢崇拝の病根」があるようでは、適切な人材を見つけることは難しくなると警告した。

内モンゴル民族文化芸術研究院は10日夜、趙子健氏の兼任研究員としての採用を暫定的に見合わせて、学歴と学位についての確認作業を行うと発表した。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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