劇団四季「赤毛のアン」とNHK「花子とアン」を観比べる―興味深い共通点「腹心の友」と「酔っ払い」

Record China    2014年9月13日(土) 15時9分

拡大

今年は「赤毛のアン」イヤーだそうだ。作者のルーシー・M・モンゴメリー生誕140年で、NHKの朝の連続テレビドラマ「花子とアン」が放映中だからである。写真は劇団四季「赤毛のアン」ポスター。

(1 / 2 枚)

今年は「赤毛のアン」イヤーだそうだ。作者のルーシー・M・モンゴメリー生誕140年で、NHKの朝の連続テレビドラマ「花子とアン」が放映中だからである。花子とは、「赤毛のアン」を初めて邦訳した村岡花子のことであり、ドラマは、花子が翻訳家・児童文学者として成長し、ライフワークともいうべき同書に出合い、日本語で世に送り出すまでを大胆にフィクションを交えながら描いている。

その他の写真

もともと「赤毛のアン」とそのいくつかの続編は日本でも人気が高かったのだが、このドラマが大ヒットしたため、あらためて注目されたわけである。

 

そこで、劇団四季が翻案上演した「赤毛のアン」を見た。原作のシリーズでいえば、第1作「赤毛のアン」をミュージカル化したものだ。浅利慶太の演出は、原作をコンパクトにまとめ、歌とダンスを織り込みながら、見終わると、心楽しく、少し悲しくさせてくれる。いかにもミュージカルらしい娯楽作品だ。1980年から通算700回近く上演されているだけに、よく練られている。

邦題通り赤毛で、そばかすだらけの、ちょっと癇癪持ちの女の孤児が、両親代わりの老兄妹、マシューとマリラの愛情を受けて育ち、賢く美しく、礼儀も正しい少女に成長する。最初はあまり可愛げがなく、ただ、言葉だけは次から次へと泉のように湧いて出てきて、頭の良い少女であることを感じさせる。そして周囲の、とりわけ老兄妹と、「腹心の友」ダイアナの理解と後押しで、難関の奨学金試験に合格する。その過程で、ヘアスタイルも服装も、態度物腰も変わっていくのである。一種の「マイ・フェア・レディ」だ。

 

アン役の若奈まりえは、台詞回し、歌唱、ダンスを無難にこなしながら、その変化をうまく表現していた。最後は本当にしっとりした美少女だった。あと1人挙げるとすれば、アンの最大の理解者であるマシューに扮した菊池正だ。アンとマリラという気の強い2人の女に囲まれながら、愛情深く見守る演技は見事だった。特に、眠るように死んでいく最期の姿。

 

NHKの朝ドラを見ている人には、興味深い点がいくつかある。アンとダイアナが「腹心の友」になること。ドラマでは花子と、女学校の先輩で後に歌人となる蓮子が、やはり「腹心の友」になる。また、ダイアナがシロップと間違えてスグリ酒を飲み、酔っぱらってしまうこと。ドラマでは、酔っぱらうのは花子なのだが……。つまり、ドラマのストーリーやエピソードは、「赤毛のアン」そのものからいくつか拝借しているということが分かる。(ジャーナリスト・川北隆雄)

<劇団四季「赤毛のアン」9月28日まで、東京・浜松町の自由劇場>

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携