「鬼滅の刃」成功の秘密(1/2)ストーリーとキャラクター設計―中国メディア

Record China    2024年9月17日(火) 0時0分

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11日、中国のポータルサイト・捜狐で大人気アニメ「鬼滅の刃」が成功した要因について考察する記事が掲載された。写真は鬼滅の刃。

2024年9月11日、中国のポータルサイト・捜狐で大人気アニメ鬼滅の刃」が成功した要因について考察する記事が掲載された。

記事はまず、「『鬼滅の刃』は16年に『週刊少年ジャンプ』で連載開始されて以来、日本の漫画界で一躍注目を集め、19年のアニメ放送とともに世界的な人気を博した。爆発的な漫画の売り上げや、劇場版『鬼滅の刃』無限列車編が打ち立てた数々の記録からも、この作品が現代のアニメ業界に大きな影響を与えていることが分かる。新世代の作品として、『鬼滅の刃』の成功はまさに社会現象といえるもので、アニメファンだけでなく、これまで日本のアニメに触れてこなかった視聴者をも引きつけた」とつづった。

その上で、「では『鬼滅の刃』は一体なぜこれほどまでに成功したのだろうか?競争の激しいグローバルなアニメ市場の中で、どうやって注目の的になったのだろうか?緻密なストーリーと精巧なキャラクター設計、視覚的効果、さらには音楽や効果音にわたる完璧な融合に至るまで、『鬼滅の刃』はあらゆる面で完成度を極めているように見える。この記事では、『鬼滅の刃』の成功の背後にどのような創作技術や芸術的選択が隠されているのかをさまざまな視点から徹底解析していく」とした。

記事はまず、「鬼滅の刃」の成功要因の一つを「ストーリー設計」だとし、「同作は少年漫画の典型的な『ヒーローの成長』の物語。主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)は、自身の努力、忍耐、そして家族への愛から、数々の試練や鬼殺隊の訓練を通じて強大な戦士へと成長した。この炭治郎の成長は、初めは鬼となった妹の禰豆子(ねずこ)を救うためのものだったが、戦いが進むにつれて、自分の使命はそれだけではなく、より多くの人々を守ることだと気づいていく。この個人的な感情から大きな責任感への変化は、物語の感情的な深さを大いに引き上げている。また、炭治郎の内面的な優しさや、家族への無私の献身は、彼をほかの多くのヒーローキャラクターとは一線を画す存在にし、この物語に新しい活力をもたらした」と言及した。

また、「緊密でスピーディーな物語の展開」も大きな特徴の一つとして挙げ、「物語は炭治郎の家族が殺され、妹の禰豆子が鬼になるという衝撃的な導入から始まり、すぐに視聴者の関心を引きつけた。炭治郎が鬼殺隊に加わり、強敵の鬼と対峙するまで、物語には無駄なエピソードがほとんどなく、多くの長編作品にありがちな冗長さを排している。『竈門炭治郎 立志編』や『無限列車編』など、これらの各章には明確なターゲットや目的、課題が設定されているため、物語は絶えず前進し、短時間で視聴者に感情的・視覚的な強いインパクトを与え、常に高い関心を持続させている」と分析した。

続いて、同作の中心には、「家族と責任」というテーマがあると指摘。「炭治郎が妹の禰豆子を守ろうとするのは、単に血縁の絆だけでなく、彼が強く感じる責任感にも基づいている。鬼と化した妹を救うだけでなく、彼は自分が唯一の守護者であるという重荷を背負っている。この責任感は、単純なヒーローの使命感を超えた、炭治郎の内面的な優しさと深く結びついている。彼は鬼と対峙(たいじ)する際、かつて人間であった鬼たちの苦しみや無力さを感じ取る。この設定は物語に感情的な深みを与え、視聴者は単なる正義と悪の戦いではなく、妹を救いながら鬼と戦う、炭治郎の人間性に対する深い洞察を見ることができる。このような温かさと痛みを伴った感情の葛藤が、『鬼滅の刃』の感情的な緊張感を一層引き立てている」と論じた。

さらに、「キャラクター設計」も成功要因の一つだとし、「『鬼滅の刃』に登場するキャラクターたちは、単純なヒーローや悪役の枠に収まらず、それぞれの成長や感情的な葛藤、内面的な衝突を通じて豊かな多面性を持つように描かれている。主人公である炭治郎の優しさ、忍耐力、責任感は物語全体の核心だ。炭治郎の性格は攻撃的ではなく、むしろ同情心と家族への強い責任感によってに突き動かされている。彼は鬼と戦う一方で、鬼の苦しみや人間性の複雑さを理解しようと常に葛藤している」と説明した。

また、「禰豆子のキャラクター設定も非常にユニークだ。彼女は鬼になりながらも、人間としての感情や理性を保っている。彼女は単に炭治郎に守られる存在ではなく、戦いの中で強大な力と意思を発揮する。彼女の存在は、人間性と獣性の対立とバランスを象徴しており、視聴者の深い共感を呼び起こしている。我妻善逸(あがつまぜんいつ)と嘴平伊之助(はしびらいのすけ)の性格は対照的だが、物語に軽妙さやユーモアをもたらすだけでなく、炭治郎との友情や成長の過程を通じて感情的な深みを与えている。善逸は臆病でありながらも、極限状態での覚醒力を持ち、伊之助は野性的な性格ながらも次第に炭治郎たちと打ち解け、仲間意識を育てていく。これらの個性豊かなキャラクターたちが視聴者の注目を引き、物語の推進力となっているのだ」と考察した。

記事はこのほか、「『鬼滅の刃』における敵役のキャラクターの描写も非常に優れており、とりわけ鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)は単なる力の象徴に留まらず、絶対的な恐怖と冷酷さの化身として、物語の中で圧倒的な脅威を放っている。ほかの鬼たちもそれぞれ異なる背景や動機を持ち、単に討伐される敵でなく、悲惨な過去を持つ複雑なキャラクターとして描かれている。例えば、炭治郎が敵と戦う中で、彼らが鬼になる前の人間としての過去や背景を垣間見ることがあり、これが人間性についての深い思考を引き起こす。こうした描写を通じて、物語は単純な善悪の二元対立を超え、敵役にも感情的な深みが与えられている」と述べた。

そして、「ヒーローであれ敵役であれ、『鬼滅の刃』のキャラクター描写は、彼らと視聴者との感情的なつながりを強調している。このつながりは主に、キャラクターのもろさや内面的な葛藤を通じて表現されている。特に、巨大なプレッシャーや避けられない犠牲に直面した時の反応は視聴者の心を揺さぶる。例えば、炭治郎は戦いの中でしばしば道徳的な選択を迫られる。かつては人間だったが鬼と戦う時、彼の同情心と揺るぎない信念が視聴者に深い共感を呼び起こし、同様に善逸の臆病さと勇気の間の葛藤や、伊之助の傲慢さと内なる孤独感も物語に感情的な深みを加えている」と言及。「これらのキャラクターの成長や、困難に直面したときの彼らの反応が、視聴者と強い感情的なつながりを生み出している。視聴者は単に戦闘シーンを見ているだけでなく、キャラクターたちの内面的な成長や道徳的な選択を目撃しているのだ。この複雑な感情の交錯こそが、『鬼滅の刃』がキャラクター設計において大きな成功を収めた鍵となっている」と述べた。(後編に続く)(翻訳・編集/岩田)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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