台湾の法務部（法務省）調査局は3日、台湾でハイテク分野の人材を違法に引き抜き、機密を盗んだ疑いのある中国企業8社に対して一斉捜査を行った。地元メディアが伝えた。

台湾・中央通信社によると、調査局は台北、新北、士林、新竹の4カ所の地方検察署（地検）に指揮を要請し、8月19日から30日にかけて計30カ所を捜索。延べ65人に聞き取りを行った。

8社のうち、上海瀚薪科技は中国の政府系半導体投資ファンドの子ファンドや中国財政部（財務省）のファンドから資金出資を受けており、事業実態のない域外のペーパーカンパニーを介して資金を台湾に引き込み、台湾で第3種半導体のパワーデバイスの開発に従事したほか、関連エンジニアを引き抜いた。

また中国国有企業、中国核工業集団傘下の同方は台湾資本を装う形で台湾に会社を設立するとともに、100人近い設計・研究開発人材を引き抜き、関連技術を持ち出そうとした。半導体IP（知的財産）設計の成都銳成芯微科技も「華僑・外国資本」を装って台湾で弁事処を立ち上げた。

同社は取り締まりから逃れるため、台湾の従業員に対し、全民健康保険に労働組合や役所を通じて、または配偶者の被扶養者として加入するよう求め、台湾での違法な業務行為を隠蔽（いんぺい）しようとした。

ハイテク分野における台湾の競争力を確保するため、調査局は5月下旬の新局長就任以降、中国による台湾での機密窃盗や人材引き抜きの摘発に力を入れている。同局は中国企業の関連の違法行為は台湾のハイテク産業の競争力に深刻な影響を及ぼすとし、「台湾での人材引き抜きや機密の窃盗といった違法行為を引き続き撲滅していく」と強調した。（編集/日向）