中国の科学者、月の土壌から分子水を初発見―中国メディア

人民網日本語版    2024年7月25日(木) 18時30分

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中国の科学者が月の土壌から分子水を初めて発見した。

中国科学院物理研究所がこのほど明らかにしたところによると、 中国科学院物理研究所/北京物性物理学国家研究センター研究員の陳小龍氏、副研究員の金士鋒氏、博士課程在学中の郝木難氏らが、北京科技大学准教授の郭中楠氏、天津大学のエンジニアの殷博昊氏、中国科学院青海塩湖研究所研究員の馬雲麒氏、鄭州大学のエンジニアのトウ麗君氏らと協力し、月探査機「嫦娥5号」が持ち帰った月の試料から、水分子とアンモニウムを豊富に含む未知の鉱物結晶体「ULM-1」を発見した。これは、科学者が初めて月の土壌から分子水を発見したことを示しており、水分子とアンモニウムが月に実際に存在することを明らかにした。人民日報が伝えた。

月の水の有無は月の進化の研究と資源開発にとって極めて重要だ。1969-72年に採取されたアポロ試料の研究では、月の土壌からいかなる水を含む鉱物も見つからなかった。その後、月に水が存在しないことが月科学の基本的な前提になった。これは月の火山の進化や月と地球の起源への認識といった問題に重要な影響を与えた。1994年、研究者はクレメンタイン探査機によって月の両極を観測し、極地の「永久影」の土壌に水の氷が存在する可能性があることを提起した。2009年、チャンドラヤーン1号に搭載された月面鉱物マッピング装置は、太陽風による水酸基または水分子の信号が月面に存在することを発見した。同年、月観測・リモートセンシング衛星は、2.5 km/sの速度で月の永久影に衝突した。衝突時の砂埃のリモートセンシング測量では水の信号が示された。近年のリモートセンシングデータは、月の照らされた領域に水分子が存在する痕跡を物語っている。科学者は高感度の特性評価技術を利用し、当時採取されたアポロ月試料の一部のガラスと鉱物から100万分の1スケールの「水」(H+、OH-またはH2O)を発見したが、水分子の存在に関する決定的な証拠はなかった。

今回の研究は単結晶回析と化学分析により、これらの月の水とアンモニウムが(NH4,K,Cs,Rb)MgCl3·6H2Oという水和鉱物の形で現れることを発見した。この鉱物の分子式には6つにも達する結晶水が含まれ、水分子の試料内の質量は41%にも達する。赤外スペクトルとラマンスペクトルでは水分子とアンモニウム由来の特性ピークがはっきり観測された。ULM-1の結晶体構造と組成は地球上で近年発見された珍しい噴火口鉱物と似ている。地球上のこの鉱物は、熱い玄武岩と水・アンモニアを豊富に含む火山ガスとの相互作用によって形成されたものだ。これは月の水・アンモニアの出処に新たな手がかりを提供している。

この発見の正確性を証明するため、同研究は厳密な化学・塩素同位体分析を行った。ナノスケール二次イオン質量分析のデータによると、同鉱物のCI同位体の構成は地球の鉱物と大きく異なり、月の鉱物と一致する。研究者は同鉱物の化学成分と形成条件を分析し、地球の汚染またはロケットの排気ガスをこの水化物の出処から除外した。同鉱物の存在は、月の火山ガスの組成に重要な制約を与えている。熱力学的分析によると、当時の月の火山ガスの含水量の下限は、現在地球上で最も乾燥しているレンガイ火山に相当。これは複雑な月の火山脱ガスの歴史を明らかにしており、月の進化プロセスを探る上で重要な意義を持つ。

この水和鉱物の発見は、月の水分子に水和塩という形式が存在する可能性を明らかにした。揮発しやすい水の氷と異なり、この水和物は月の高緯度地域(嫦娥5号の試料採取地点)で非常に安定する。これは月の広い照らされた領域でも、この安定的な水和塩が存在し得ることを意味し、未来の月資源の開発・利用に新たな可能性をもたらした。(提供/人民網日本語版・編集/YF)

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