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<解読!習主席の年頭挨拶>改革開放による発展をアピール=「生活向上」と「世界平和」に力点

八牧浩行    2024年1月1日(月) 14時0分

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習近平国家主席は2024年の年頭挨拶を発表した。写真は北京の天安門広場。1日早朝、新年初の国旗掲揚式が行われた。

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習近平国家主席は2024年の年頭挨拶を発表した。中国経済について「景気回復の前向きな流れを加速し、長期的な経済の安定を実現しなければならない」と語り、「改革開放を全面的に深化させ、経済の活力を強化し、教育や科学振興、人材育成にいっそう力を入れる必要がある」と唱えた。一方で反グローバル化、一国主義、保護主義への反対を打ち出し、中国こそが「平等な国際社会」をリードしていくと訴えた。

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全体を通じて改革開放政策の拡大による経済発展の必要性をアピールしている点が際立つ。

「最終的に目指しているのは、人々の暮らしをより幸せなものにするということで、子育てと教育、若者の雇用と育成、高齢者の医療と養老、これらは家庭のことであり、国家の事業でもある」と強調した。


軍事、海洋進出への言及を封印

経済重視の方針に対し、軍事面や海洋進出への言及はなく、経済発展による国民の生活向上に力点を置いている点が目立った。

最近1年の中国の歩みについて「経済は持続的に前向きに回復し、ハイクオリティーな発展が推し進められてきた。現代化された産業体系が一層完備され、ハイエンド化、スマート化、エコロジー化を目指す新型基幹産業も速やかに成長している」「食糧生産の面では20年連続で豊作が実現し、エコロジー型発展と農村部振興の事業も一層進展している」とアピール。「東北地域の全面的な振興戦略が進展。雄安新区は飛躍的な成長を遂げ、長江経済帯は絶え間なく活力を生み出し、広東・香港・マカオグレーターベイエリアも時流に乗って発展している」など実績を列挙した点が際立つ。

「中国の革新の原動力と発展の活力」として大型旅客機C919の商業運用の開始、国産豪華客船のテスト航行、有人宇宙船「神舟」シリーズの打ち上げ成功、「奮闘者」号による深海探査などを列挙。「国産ブランドの人気が上昇し、国産スマートフォンの需要が高まっているほか、新エネルギー車やリチウム電池、太陽光発電の関連製品も、中国の製造業の新たな代表となっている」とアピールした。

大型旅客機C919

またロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突を念頭に「世界にはまだ戦火のまっただ中にある地域がある」と訴えた上で「中国人民は平和の尊さをよく認識している。国際社会と協力し、人類運命共同体を構築したい」と呼びかけた。

さらに「中国は自らの発展を目指すと同時に、世界に溶け込み、大国としての責務を果たす」とアピール。(1)中国・中央アジアサミット、第3回一帯一路国際協力ハイレベルフォーラムなどを成功裏に開催し、ホスト国として全世界からパートナーを迎え入れた、(2)習氏も多くの国を訪問し、一連の国際会議に出席して、多くの旧友や新しい友人たちと対面で会見し、互いの共通認識を深めた―と紹介。「世の中がどのように変わろうとも、平和と発展は終始一貫した主旋律であり、協力とウィンウィンは正しい道筋」と強調した

台湾統一を巡っては「祖国統一は歴史の必然だ」と改めて訴えつつ「(中台)両岸の同胞は手を携え、中華民族復興という偉大な栄光を分かち合うべきだ」と主張。あくまでも平和的な統一を目指す方針を確認した。

「改革開放」の重要性を繰り返す

また新中国成立75周年に当たる2024年に「中国式現代化の道を歩み続け、新たな発展理念を完全に、的確に、全面的に貫き、新たな発展構造の構築を加速させ、ハイクオリティーな発展を推進する」とし、経済の前向きな回復の勢いを一層確固たるものにするために「改革開放政策の確実な実施によって、経済の活力を高めるとともに、教育事業、科学技術の振興、人材育成を強化するために一層力を入れなければならない」と訴えた。「改革開放」に繰り返し言及した点が今年の挨拶の特徴である。

上海

中国では、米欧を中心とした既存の国際秩序に対する中国の提案が、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国から支持されている、との自負が高まっており、「世界の大変革が加速度的に進み中国の特色ある大国外交はさらに力を発揮できる新たな段階に入る」(中国シンクタンク首脳)と見ている。

中国は米国を中心とした対中国の動きに対し、反グローバル化や安全保障の拡大、一国主義や保護主義への反対を打ち出している。米中間の緊張が続く中で、中国こそが「平等な国際社会」をリードしていると誇示する狙いもあるとみられる。

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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