円急伸の背後で何が起こっているのか―華字メディア

Record China    2023年12月22日(金) 7時0分

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華字メディアの日本華僑報は12月20日、14日に円相場が急伸したことについて、大きく3つの原因があると指摘した。

華字メディアの日本華僑報は12月20日、14日に円相場が急伸したことについて、大きく3つの原因があると指摘した。

日銀の金融政策正常化に対する市場の期待感

記事は第1の原因として、日銀の植田和男総裁が最近国会で「年末から来年年初にかけて、金融政策の運営が一段とチャレンジングになると見ている」と答弁したことに触れ、「この発言が欧米諸国の投資家の憶測を呼び、円が急騰した」と指摘した。

記事は植田発言に対する欧米諸国の反応について、「文化的な違いがある」とし、「日銀総裁が国会で答弁することは珍しくないが、欧米諸国の中央銀行総裁が議会に呼ばれることはめったにないため、欧米諸国の投資家は日銀総裁の国会答弁に反応しやすい」と説明した。

また、「植田総裁が答弁で『チャレンジング』という言葉を使ったため、欧米の投資家の間で日銀の金融政策の方針が変わるのではないかとの憶測が広がった」と分析。「欧米では演説で『チャレンジング』という言葉が使われた場合、現状に対する破壊的な変更や挑戦を迎え入れると解釈されるかもしれないが、リスクや困難を回避することが好きな日本人の性格を考慮すると、『難しい、リスクがある』という意味合いである」とし、「発言を正確に読み解くならば、日銀は現行金融政策の短期的な変更は難しいということだ」と伝えた。

一方で、「12月19日の日銀の金融政策決定に向けて、植田総裁が円高になるよう意図的に発言した可能性も否定できない。植田発言がなければ、19日まで円安がさらに進んでいた可能性もあった」とし、「為替相場が変動する中で、いったん円を引き上げ、その後19日に日銀が現行の金融政策維持を発表すれば、円安は進むものの下げ幅は相殺され、円安が悲惨なほど進むことはない」との見方を示した。

米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ予測

記事は円急伸の第2の理由として、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げの一時停止と利下げ予測を挙げ、FRBの金融政策の円に対する影響力を指摘する。「FRBは13日に利上げの休止を発表したが、一部エコノミストはFRBが2024年半ばまで3回ほど利下げすると予測しており、日米の金利差が縮まれば円高・ドル安が進むとして、市場には円買いの動きが出てくる」とし、「FRBと日本の金融政策はしばしば逆相関を示す。FRBの利下げが予想される場合、日銀の利上げが予想されるため、当然のことながら多くの投資家は事前に円を買い入れ、日銀の利上げ決定を待って

もうけようとするだろう」と述べた。

一方で、「こうした見方はリスキーであり、金融政策が実際に導入されるまではギャンブルの域を出ない。金融界では歴史が繰り返されることは多いが、(単純に)重複することはないだろう」との見方も示した。

国際投資機関によるクリスマス期決済による影響

記事は最後の原因として、国際投資機関がクリスマス期に行う決済の影響があると述べている。円の為替市場は、円安・ドル高が進んだ11月13日に151円90銭の最安値を付けた後、12月14日に急伸して注目を集めた。

記事は、「日本の金利が低いことは周知の事実であるため、国際金融界は年初に円を借りて投資に向け、年末に決算するのが慣例となっている。このためクリスマス前は国際投資機関による決済に伴い、円高になりやすい」とし、「この時期市場に残っているのは予期した利益に達していない投資家が多いことから、為替市場は暴騰や暴落といった予期せぬ動きも出現しやすい」との警戒感を示した。

その上で、「大手投資機関の決済と市場からの離脱に伴い、市場に出回る資金規模は通常よりはるかに小さくなり、レバレッジがしやすくなる一方、異例で予測できない市場の趨勢が出現することもあり、ややリスキーな時期であることから、一般投資家がこの時期市場へ安易に参入することはお勧めできない」との見解を述べた。(翻訳・編集/榊原)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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