中国で「紅の豚」上映、なぜ大人がアニメを見るのか―中国メディア

Record China    2023年11月18日(土) 13時0分

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17日、中国メディアの潮新聞は、なぜ大人がアニメーション映画を見るのかを論じる文章を掲載した。

2023年11月17日、中国メディアの潮新聞は、なぜ大人がアニメーション映画を見るのかを論じる文章を掲載した。

文章はまず、「アニメ映画の巨匠・宮崎駿監督の名作『紅の豚』(スタジオジブリ)が17日に全国芸術電影放映聯盟(芸聯)の中国全土の提携映画館で正式に上映開始されることとなった」とした上で、「もちろん同作は新作ではなく、1992年に日本で上映された。主人公ポルコ・ロッソは戦争の道具になりさがらないように、自ら豚になる魔法をかけ、空賊と戦い、愛する人を守るという物語だ」と紹介。「灯塔専業版(映画に関する分析アプリ)の16日時点でのデータによると、同作を見たいと評価した人は8万を超え、その中でも20~29歳が64.1%を占めている」とし、「アニメ映画はなぜ依然として大人の支持を得ているのだろうか」と疑問を提起した。

文章は、「事実として、(中国で)リバイバル上映が行われた作品は同作が初めてではない。2018年12月から現在までの5年の間に、少なくとも6作品が中国の映画館でリバイバル上映されている。宮崎監督の作品が多くを占めており、興行収入が高い作品も少なくない。23年にリバイバル上映された『天空の城ラピュタ』の興行収入は1億3500万元(約27億円)、19年にリバイバル上映された『千と千尋の神隠し』は4億8800万元(約97億6000万円)で、昔を懐かしむ風潮が巻き起こった。リバイバル上映された作品について言えば、ストーリー、キャラクター、映像などの要素はもはや観客にとって秘密ではなく、新旧いずれのファンも引き付ける魅力となっている」と述べた。

また、「昔ながらの名作のリバイバル上映と比べると、ハイクオリティーな新作映画の勢いもなかなかだ。ここ5年、多くのアニメ映画が毎年度のランキングトップ10に入り、競争の激しい映画市場の一角を占めている」とし、「はやりの映画だけではなく、大人のアニメへの愛は現在もショートアニメの中で見られる。小さなスクリーン(=スマートフォンなど)で見られるアニメは、見る時間や場所に制約のある映画館の大きなスクリーンよりも手の届くところにあるのかもしれない」と指摘した。

文章は、「アニメは多くの人の成長に寄り添い、子ども時代の代名詞となっているようだ」とした上で、「実際のところ、アニメは子どもだけのものでは決してない。23年7月、拓普集団(ネイハ・トゥオプー・グループ)は『2023年中国アニメーション映画市場研究報告』を発表し、アニメ映画の主要な属性をファミリー向け、全年齢向け、若者向けに分類した。ファミリー向けから若者向けへの移行期において、若年層の構成は低年齢化しているが、若者向けのアニメ映画でも観客の55%は25歳以上であることが分かっている」と述べた。

そして、「中国のシンクタンク・DT財経とbilibili(ビリビリ動画)が1500の調査サンプルを基にまとめた報告によると、中国アニメの視聴者のうち、毎日アニメを見る人の割合は2000年代に生まれた層が最も多く、90年代に生まれた層でも週に数回アニメを見る人の割合は60%を超えている」と紹介した。

文章は、「アニメを見る際、われわれは一体何を見ているのか?」と疑問を投げかけ、「実際にアニメ産業は一つの大きなマーケットだ。経済日報の23年2月の報道によると、中国アニメ産業の生産総額はすでに2200億元(約4兆4000億円)を突破し、消費者層も幅広く、多くの大人や老年層に至るまでアニメ作品を好んでいる」と言及。学者の李涛(リー・タオ)氏が論文の中で「米国や日本で成功したアニメ作品を概観すると、特別子どもに向けた要素はない。逆に、アニメ映画においてはあらゆる年齢層の観客を開拓することに力を注いでおり、それこそがアニメがより広く、永続的な生存基盤を獲得することを可能にしている」と指摘したことを伝えた。

そして、「巨大な産業の中で、多くのアニメは制作し始める段階から、大人に向けることを想定している。多くの人から子どもっぽいと認識されるアニメは、実のところ忙しい生活を送る大人にとって貴重な心のよりどころなのだ」とした上で、「米誌VOGUEによると、大人はアニメを見るとストレス解消になり、うつや焦りを緩和させることにも有効な手段だという。熱血少年アニメでは主人公と共に夢を追いかけ、ファンタジーアニメでは想像を膨らませ、リアルさのあるアニメでは自分の人生を見つめ、共感する。アニメは大人になってからも日常生活の中の癒しになることも多いのだ」と結んだ。(翻訳・編集/柳朱音

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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