Record China 2023年9月25日(月) 10時20分
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中国ではファーウェイを巡る話題が増えている。ジャッキー・チェンが実店舗でスマホを購入したことや、任正非CEOによる「私はアップルのファンだと言っても過言ではない」との発言などだ。
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中国ではこのところ、通信機器の製造販売などを手掛ける華為技術(ファーウェイ)を巡る話題が増えている。ジャッキー・チェンが実店舗でスマートフォンを購入する姿が目撃されたことや、創業者である任正非最高経営責任者(CEO)による「私はアップルのファンだと言っても過言ではない」との発言などだ。
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ファーウェイは2020年ごろから米国の制裁により、スマートフォン関連などで苦境に立たされた。多くの中国人は、米国の対中政策に反発しており、その「標的」になったとしてファーウェイを応援する気持ちが強い。もちろん、最大の理由は、ファーウェイが多くの人々を喜ばせる製品を発表しつづけるなどで、企業として信頼さているからだ。ファーウェイは米国の圧力に屈せずに前進する企業と見なされており、同社製品は「護国神機(国を守る神のマシン)」と形容されることもある。
ファーウェイは米国の圧力によりスマートフォン部品の調達が困難になって以来、企業向け業務などに力を入れる姿勢を見せていた。しかしファーウェイの余承東常務役員は3月に実施した春の旗艦新製品の発表会で、「ファーウェイは4年間に及んだ制裁の冬を乗り越えて、春を迎えた」と表明し、スマートフォンの新製品発表についても従来の周期を回復させ、二大シリーズであるPシリーズの新機種発表を毎年の上半期に、Mateシリーズでは下半期に実施すると宣言した。
そしてファーウェイは8月29日未明に新機種の「Mate 60 Pro」の販売を開始。さらに9月8日朝にはさらに「Mate60 Pro+」と「Mate X5」の販売を開始した。いずれも予告なしだったので、ネットなどでは喜びや驚きの書き込みが相次いだ。
ファーウェイ製のスマートフォンについては、映画スターのジャッキー・チェンが9月10日に、四川省成都市内のファーウェイ製品専門店でスマートフォンを試していたことも話題になった。新機種はすでに品薄だったので、チェンは店員に購入できる機種を尋ねたりした。チェンは結局、その場で最新機種を購入することは諦め、春に発売された折り畳み式スマートフォンの「Mate X3」を購入したという。
中国大陸で、ジャッキー・チェンの好感度は高い。中国人として世界で成功した大スターを応援したい気持ちが働くのはもちろんだが、香港の大物芸能人としてかなり早い時期から普通話(標準中国語)を学ぶことに力を入れたので、「大陸部のファンを大切にする気持ちが伝わる」と評価する人も珍しくない。そんな「人気者」が「応援したいブランド」であるファーウェイの製品を購入したとのことで、なおさら話題になったようだ。中国人からは、「ジャッキー・チェンをファーウェイのイメージキャラクターにすべきだ」との書き込みも寄せられた。
ACM国際大学対抗プログラミングコンテスト(ICPC)の北京本部公式サイトが9月19日に発表した、ファーウェイ創業者である任正非CEOとの対話にも大きな注目が集まった。主な話題は教育や人材育成、ファーウェイとしての人材重視で、任CEOは米国関連にも触れた。
ただし、任CEOは自社に圧力をかけつづける米国を批判することはしなかった。自社が数学などの基礎分野を重視していることを紹介し、それに関連して「米国は第2次世界大戦後、欧州に比べて自らが立ち遅れていることに気付いた。基礎理論の蓄積があまりにも貧弱だったからだ」などと論じ、米国はその後「デジタル時代になり世界の雄となり、われわれは時代の“デジタル列車”に乗って発展してきた」と、米国の経験を生かし、さらに自らが米国がけん引したデジタル時代の恩恵にあずかっていることを強調した。
また、米国による圧力については「圧力は動力でもある」として、大変な努力をして事業の仕組みを再構築してきたと紹介した。
任CEOはさらに、米国を代表するデジタル機器製造企業であるアップルについて、「排他的になってはいけません。われわれは常に、アップル製品のどこがよいのかを研究しています。そしてわれわれとアップルの間に距離があることを目の当たりにしています」と、アップル社を高く評価し、「教師が存在することはとても幸せなことです。チャンスがあれば学習します。(アップルとファーウェイを)比較するチャンスが存在するのです」と説明した上で「この観点から言えば、私はアップルのファンと言っても過言ではありません」と説明した。
中国では改革開放で多くの人がビジネスでの成功を目指すようになって以来、「尊敬すべき経営者」が話題になることが増えた。かつては同じアジア人として、松下幸之助氏や稲盛和夫氏など日本人が「経営の神様」とみなされることが連続した。しかし今や、任CEOが「経営の神様」と見なされている。任CEOのアップルへの言及について、ネットでは「理性的で度量が大きいことを反映している」といった書き込みが相次いだ。
ファーウェイの特徴の一つに「広くて深い視野」がある。すぐに現金化できることがむしろ少ない基礎分野を重視して、高額の報酬で世界のトップレベルの人材を確保することもその一つだ。また、会社上層部が世の中の大きな流れと自社の状況を対照した上で、ビジネスの大きな方向性を語ることも珍しくない。同社副董事長(副会長)で輪番会長でもある孟晩舟最高財務責任者(CFO)は、20日に開催したファーウェイ全連結会議で行った基調講演で、ファーウェイの次の取り組みは「全面スマート化戦略」と宣言した。
孟CFOはまず、ファーウェイはこれまで10年ごとに「オールIP戦略」と「オールクラウド戦略」に着手してきたと説明。2003年からの「オールIP戦略」とはさまざまな種類の通信を、単一のIPネットワークで統合して処理する取り込みだ。このことで、各種通信が同じネットワークインフラ上で処理され、通信の統合と柔軟性が向上したという。
孟CFOは2013年からの状況については、クラウドコンピューティング技術の急速な発展を受け、「オールクラウド戦略」を打ち出し、デジタル化の高度化を加速させたと説明。ファーウェイは研究開発費の投入を続けたことと顧客の支持を得たことで、世界で最も成長が早いクラウド関連企業の一つになったと説明した。
孟CFOによると、次の段階の「全面スマート化」より、すべての意思決定が計算可能になる。利用するのは人工知能(AI)であり、高性能なAIを実現する基盤が強大な計算力だ。孟CFOは、AIの進化について「ターニングポイントを越えた」と説明。例えば、従来はAI応用シーンごとに異なるモデルを開発する必要があったが、現在のビッグモデルは大量の情報を吸収することで、一つのモデルが多様な業務シーンに適応でき、そのことでAI開発と応用のハードルが大幅に下がり、技術開発から応用までの期間が短縮された。その結果、産業側が抱える問題を解決の解決が容易になったという。
孟CFOはファーウェイの方向性について、「計算力の基盤、AIプラットフォーム、開発ツールの開放により、スマート化時代におけるビッグモデルの『百花斉放』をサポートし、『花が咲き乱れる園』の肥沃な土壌を作り出すべく努力していく」と説明した。(翻訳・編集/如月隼人)
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