2023年4月20日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、台湾の半導体大手TSMCが米国での工場建設に当たって米政府に多額の補助金を望む一方で、補助金支給の一部条件に反発していると報じた。

記事は、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの19日付報道として、TSMCが米国での半導体工場建設に当たり米国政府による最大150億米ドル（約2兆円）の補助金の支給を求めている一方で、半導体工場の利益や運営に関する詳細な情報の提出を必須とする補助金支給の条件に反発を見せていると伝えた。

また、中国メディアもこの情報に注目しており、中国の科学技術系メディア・快科技が20日に「米国が提出した条件は過酷であり、利益の情報だけでなく、シリコンウエハー類製品の生産能力、利用率、想定の良品率、生産開始初年の販売価格、毎年の生産量と価格の変化といった細かい企業運営データの提供を求めている。これは前代未聞だ」と報じたことを紹介している。

その上で、米バイデン政権がこれまで多額の補助金支給を提示することでTSMCやサムスン電子といった世界的な半導体大手企業の工場建設誘致に成功してきたとし、TSMCが昨年12月にアリゾナ州での工場建設セレモニーを実施した際にはバイデン大統領も姿を見せたと紹介。TSMCは同社最大規模となる400億ドル（約5兆4000億円）を投じて同州に2カ所の半導体工場を建設する計画だと伝えた。

記事は、TSMC側の立場を知る情報筋がウォール・ストリート・ジャーナルに対し、TSMCは顧客や製造に関する重要情報を外部に公開することを望んでいないと語ったことに加え、TSMCの劉徳音（リウ・ダーイン）会長も「米国の条件は半導体メーカーによる米国での半導体増産協力の意思にダメージを与えかねない」とし、3月30日に台湾で行われた会議では「受け入れようがない条件がある。引き続き米国政府と交渉していく」と語っていたことを紹介した。（翻訳・編集/川尻）