創業者が急死、後継めぐり息子と有名キャスターの義母の間に内紛勃発―中国杉杉グループ

Record China    2023年3月26日(日) 22時0分

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大手企業の杉杉グループで内紛が勃発した。創業者の鄭永剛氏の急死を受けて息子の鄭駒氏が会長に選出されたが、鄭永剛氏の妻だった周婷氏が手続きに不備があり無効と主張した。鄭駒氏は鄭永剛氏の前妻の息子。

浙江層寧波市に本社を置き、上海と香港の証取に傘下企業が株式上場している杉杉グループで、経営権を巡る内紛が勃発した。創業者の鄭永剛氏が2月10日に心臓発作で急死し、息子で1991年生まれの鄭駒氏が3月23日の臨時株主総会で後継者として董事長(会長)に選出されたが、鄭永剛氏の妻だった周婷氏が臨時株主総会に姿を現して、手続きに不備があり無効と主張した。

鄭駒氏は故鄭永剛氏の前妻の息子なので、周婷氏は鄭駒氏の義母ということになる。周氏は、鄭永剛氏が死去した時点で配偶者だった自分が鄭永剛氏の法定代理人であり、自らと鄭永剛氏の間に生まれた3人の子の法定代理人でもあると主張。取締役会が周氏による査読と同意を得ていない議案を勝手に審議して発表したことは無効と主張した。

周氏はさらに、役員会のやり方は自らと子が合法的に相続すべき財産と権利に損害を与え、鄭永剛氏の遺志にも反していると主張した。

周婷氏は「慰笛」の名でテレビの経済番組のキャスターとして活躍してきた。出演番組は多く、2013年から現在まで第一財経チャンネルが夕方のゴールデンタイムに放送している「財経夜行線」のメーンキャスターを務めている。

周氏は仕事の関係で経済界の重要人物と接触する機会が多かった。15年春の全国人民代表大会と中国人民政治協商会議開催時に、両会議を特集する番組を企画しキャスターを務めた際に、鄭永剛氏はゲストとして同番組に出演している。2人が正式に結婚したのは17年12月だった。周氏は16年に仕事から約1年間離れており、その期間中に鄭永剛氏との最初の子を出産したのではないか、との見方がある。

一方で、董事長に選出された鄭駒氏の母は鄭永剛氏の前妻だ。鄭駒氏は1991年生まれで、上海で育ち、現在は清華大学五踏口金融学院金融EMBA課程に在籍している。

鄭永剛氏

これまでの公開資料や近年のメディア報道を見ると、杉杉グループは早い時期から後継の問題に取り組んできた。鄭駒は英国に留学し、帰国後はまず杉杉グループ投資や観光方面の業務を担当し、15年に杉杉ホールディングスの法定代表者および董事長に就任した。19年には杉杉グループの董事・副総経理に就任し、20年1月には杉杉グループの総経理(社長)に昇格した。

鄭駒氏

杉杉グループ側は周婷氏の主張を受け入れていない。グループの関係者の一人は「浙商」誌の取材に対して、「今回の選出には報道されたような違反や誤りはなく、合法的かつ有効なものだ」と述べた。

杉杉グループ側の創業は1980年で、当初はアパレル企業だったが、その後は業務範囲を広げ、現在ではむしろエネルギー関連の科学技術や偏光板関連の業務の比重が大きい。それ以外はアパレル関連や医療健康関連、商取引、物流、小売業などの事業を営んでいる。創業者の鄭永剛氏は、杉杉ホールディングスの株式の90%を保有していた。

同グループ傘下で上海証券取引所に上場している杉杉股フェンの株価は鄭永剛氏の死後に2営業日連続で急落した。株価はその後も下落し続け、累計で9%ほど値を下げた。同じ時期の上海総合指数はほぼ横ばいだった。ただし、ここ数日は株価は安定しており、上昇する傾向も示しはじめたところだった。(翻訳・編集/如月隼人

周婷氏

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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