ソニーの復活をはばむ日本の企業文化、いま必要な「革新人材」とは?―中国紙

Record China    2014年7月8日(火) 0時57分

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7日、中国紙は日本の企業文化が電子産業の復活をはばんでいると指摘した。写真はソニーのPS4。

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2014年7月7日、人民日報は日本の企業文化が電子産業の復活をはばんでいると指摘した。

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ソニーから分離したパソコンブランドの「VAIO」が1日、日本の投資ファンド「日本産業パートナーズ」による運営をスタートした。新会社は同日、新たな3モデルを発表した。

パソコン業務を手放すことになったソニーは、その年度報告でも厳しい数値が並んでいる。2013年度連結決算の最終損益は1283億円の赤字で、売上高の7割以上を占めるエレクトロニクス部門は連続10年の損失を計上。かつては技術革新をリードしたソニーがここまで落ち込んだ背景はいったい何なのだろうか。

▼技術ばかりを追求し、市場ニーズを理解しなかった「エンジニアカルチャー」

アジア開発銀行研究院の●予青(シン・ユーチン、●=刑のつくりがおおざと)研究員は、ソニーのパソコン業務での失敗は「必然」と見ている。日本はCPUやOSなどのコンピューターのコア技術を持たず、製造コストでの優位性もない。さらにインターネット時代に入って以来、日本の電子産業には「革命的」と言える製品は見当たらなくなっている。

ソニー出身でVAIO社長に就いた関取高行氏は記者会見で、「ユーザーの求める性能とデザインを追求すると同時に、コスト意識も保っていく」と語った。日本国内のハイエンド市場をターゲットに、2015年度の販売台数30万台から35万台を目指す。

アップル創業者のスティーブ・ジョブスはかつて、小型で精巧な大容量のメモリーを世界で探し求め、最後は日本にたどり着いたという。高い技術を持つ日本が、市場のヒット商品を生み出せずにいるのはなぜか。●氏によると、日本のエレクトロニクス産業の技術は確かに優れているが、技術の極致を追求するばかりで市場の真の需要を知ることに長けていない日本企業の「エンジニアカルチャー」が足かせになっている。ソニーは3Dテレビで挽回をはかろうとしたこともあったが、メガネをかけてテレビを見るというコンセプトは受け入れがたい。日本の電子製品は機能過剰な物が多く、日本以外の消費者には歓迎されていない。

●氏も最近、日本メーカーの高級カメラを買ったが、操作があまりにも複雑で使いにくいことに気付いた。「日本人のように100ページもある説明書を読み切れるユーザーは世界にはいません」。

▼過度の業績重視と販売数の優先で革新能力が低下

ソニーの原点にあるのは技術革新。創業者の井深大は1946年、「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」という設立目的を設立趣意書に掲げた。それから数十年、ソニーは、半導体ラジオやウォークマン、3.5インチフロッピーディスクなど画期的な12の技術革新製品を世の中に送り出してきた。だが「1990年代後半から、ソニーの革新能力は明らかに弱まってきた」。ベストセラーのゲーム機の開発を率いたソニーの元副社長は、現在の事業部長には新製品の開発経験のある人が少なく、優れた製品の開発で頭角を現す社員が欠けていると苦言を呈する。

東京大学ものづくり経営研究センターの特任研究員を務める吉川良三氏によると、韓国のサムソン電子は、1997年のアジア金融危機を契機として、製造業戦略の大転換を実現。デジタル技術をうまく利用して人気製品を開発し、すばやく大量生産に乗り出した。日本企業は一方、技術時代の成功をなぞることに固執し、独自の技術体系の構築にこだわり、チャンスを逸した。

▼社内に残る年功序列制 効果的な奨励制度の欠如

吉川氏は、日本企業は「国際化」と「グローバル化」を区別すべきだと指摘する。日本のこれまでの「国際化」は、海外の安価な労働力を利用して生産コストを引き下げることばかりが強調され、海外市場の需要と国内での設計とにズレが生じていた。一方、「グローバル化」は、異なる市場の消費者の多様なニーズにすばやく対応することを指す。日本にとって急務となるのは、革新的な精神を持つ人才の育成だ。サムソン電子での勤務経験もある吉川氏によれば、革新人材とは、「どこでも眠れ、何でも食べられ、誰とでも話せる」ような国際的視野を持つ人だという。

●氏によると、ソニーは本当の国際化を実現していない。社内では依然として年功序列制が敷かれ、効果的な奨励制度が欠けている。

ソニーの平井一夫社長は最近の事業再編説明会で、ゲームとモバイル、イメージングをコア業務とすることを発表した。ウェアラブルデバイスも今後の開発の重点となる。ソニーの開発者も独自性と大衆性との間で製品のバランスをいかに保つかを考えている。ソニーはこれまで、ハイエンド市場をターゲットとしてきたが、ソニーのような大企業にとっては、ニッチ市場の製品だけで販売規模を支えることはできない。(提供/人民網日本語版・翻訳/KN・編集/武藤)

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