人民網日本語版 2023年1月17日(火) 15時30分
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地球と火星が太陽の両側に位置し、3者がほぼ一直線に並ぶことがある。中国初の火星探査任務を遂行する「天問1号」は2021年9月下旬から10月中旬にかけて初めてこの自然現象を経験した。
地球と火星が太陽の両側に位置し、3者がほぼ一直線に並ぶことがある。中国初の火星探査任務を遂行する「天問1号」は2021年9月下旬から10月中旬にかけて初めてこの自然現象を経験した。地球との通信が太陽からの電磁波放射の干渉を受け、不安定になったり、さらには中断したりして、1カ月にわたり「圏外」になった。
太陽雑音妨害期間中、「天問1号」周回機と欧州宇宙機関の「マーズ・エクスプレス・オービター」の任務チームは2つの探査機を用い、地球に無線信号を定期的に発射した。複数の国の科学者は中国内外の十数の電波望遠鏡を利用し、2つの探査機の信号が太陽の影響を受ける状況を観測し、大量のデータを取得した。
こうしたデータの掘り下げた分析を行い、中国内外の科学研究機関が行った太陽雑音妨害の研究にこのほど重要な成果があった。これに関連する研究論文はすでに国際的な学術誌「The Astrophysical Journal Letters」に発表された。
論文の連絡著者で、中国科学院上海天文台の若手研究員の馬茂莉(マー・マオリー)氏によると、研究者は火星投影点(火星の太陽付近での投影)が太陽中心から2.6Rs(太陽半径)離れている時に、6つの観測所が受信した「天問1号」周回機と「マーズ・エクスプレス・オービター」の無線信号の周波数に、最大で±20Hzの、長さ10分にも上る干渉が生じたことを発見した。
研究者は干渉信号の分析により、無線信号が太陽接近空間を通過する際に、同エリアの電子数に1000TECU(電子数の単位、1TECU=1016個の電子/平方メートル)に上る変化が生じたことを発見した。
大角度分光光度計が同一時期に取得した光学リモートセンシング観測データとの比較対照により、今回の電子数の変化はコロナ質量放出(CME)によって生じたことが分かった。CMEは太陽の最も激しい爆発現象の一つであり、磁場を持つ大量のプラズマを急速に放出できる。
同時に火星投影点付近のより狭い空間スケール内で、CMEとコロナストリーマの相互作用により生じたコロナストリーマ波が観測された。コロナストリーマ波は大スケールのコロナ変動現象で、「太陽の上空に漂うリボン」と呼ばれており、磁場の太陽風などのプラズマ運動への拘束状況を反映している。
今回の観測ではさらに、CMEが退く際に初期高速太陽風が確認された。
業界専門家によると、中国内外による太陽雑音妨害の共同研究の成功は、「天問1号」周回機と「マーズ・エクスプレス」の電波リモートセンシング方法の高い感度や、複数地域の共同観測の高時間分解能、高空間分解能によるものだ。この方法は今後、原位置探査機では入ることのできない太陽接近空間や、光学的手段で識別できない小スケールの急速な変化を観測でき、研究者による太陽接近空間環境とその深宇宙通信への影響のより詳細な研究を支える。(提供/人民網日本語版・編集/YF)
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