Record China 2022年12月19日(月) 14時0分
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台湾産果物は中国大陸側が輸入停止を打ち出した結果、最大の輸出先は日本になった。ただし輸出全体では激減しており、日本における台湾産パイナップル(写真)の“ブーム”の今後も不透明だ。
ドイツメディアのドイチェ・ベレは17日付で、台湾産果物は中国大陸側が輸入停止を打ち出した結果、最大の輸出先は日本になったと紹介する記事を発表した。ただし、輸出の絶対量は大幅に減少しており、日本における「台湾産果物ブーム」の継続にも疑問が残るとした。
中国大陸側は近年来、台湾産の農水産物の多くの輸入を禁止するようになった。台湾農業委員会の陳吉仲主任委員は13日「台湾産果物は中国側の輸入禁止によって『暗然たる状況』になったのではなく、むしろ『災い転じて福となす』で、単一市場への依存を大幅に引き下げ、他の新たな市場を開拓している」と述べた。
陳主任委員ははSNSへの投稿で、台湾の生鮮冷蔵果物の輸出について、かつては中国市場への依存度が80%に達していたが、2022年には1.7%にまで低下した一方で、20年には9%だった日本市場が占める割合は、22年には50%と大きく躍進し、日本は台湾にとって最大の果物輸出先になったと説明。台湾産果物は東南アジアや米国などの市場にも積極的に進出しているとした。
また、台湾政府の統計によると、22年度11月時点で台湾の農産物輸出先のトップ3は米国(17.8%)、日本(16.5%)、中国大陸(13.1%)だった。中国大陸は前年同期には、台湾産農産物輸出の最大市場であり、20%近くを占めていた。中国大陸は21年、検疫関連の問題を理由にパイナップルなど台湾産の果物の輸入を次々に禁止した。22年8月には、台湾産かんきつ類の輸入も改めて禁止した。この2年間で台湾産農産物の輸出市場の構造には、明確な変化が出現した。
「果物政治学」の著者である台湾人の焦鈞氏は、ドイチェ・ベレの取材に対して、「数波にわたって禁止された果物の多くは『海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)』のアーリーハーベスト(貿易協定などによって、最も早く恩恵を受ける商品品目)に属する。台湾の対中輸出ランキング上位の農産物でもあった。(中国側の措置は)『狙いを定めた性格』が非常に強い」と述べた。
焦氏は、日本が台湾産果物の最大の輸出市場になった主たる理由は、日本が台湾産パイナップルを大量に輸入したことだと説明。焦氏はさらに、「日台関係にはもともと、特別なよしみがあった」と分析し、台湾の蔡英文総統や日本の安倍晋三元首相が日本人に向けて、台湾産パイナップルを受け入れるよう呼びかけたと指摘した。
日本の財務省の貿易統計によれば、21年には日本における台湾産パイナップルの輸入量が前年の8.2倍の約1万7600トンに達した。
しかし焦氏は、パイナップルの例は「非常に特殊」として、他の果物や輸出先で再現することは難しいと論じ、「日本市場でいくらよく売れても、中国に輸出していた当時のように多くが売れているわけでない」と指摘した。台湾農業委員会によると、日本は台湾産パイナップルにとって最大の市場になったが、その輸出総額は往時の中国向け輸出の半分以下にとどまっている。
焦氏はさらに、パイナップルの対日輸出が激増した背景には「感情的な要素」が関連していると指摘し、「商売は商売の理屈で動く。顧客(である日本の輸入業者)は最終的に損をすれば、再び買おうとはしなくなる」と述べ、さらに「市場の開拓は非常に難しいが、持続と維持はさらに難しい」と論じた。
また、果物類には輸送距離に制限があり、台湾にとって中国のような巨大かつ近距離の市場を見出すのは極めて困難だ。しかも、食べ物の場合には輸出先の食習慣も大きく関係する。したがって、中国が受け入れなくなった果物の輸出先を他の市場に求めることは、実際には容易ではないという。
中国大陸側は、今年になっても、台湾産水産物や飲料、酒類の新規輸入停止を続けている。台湾農業委員会の陳主任委員は、中国側が輸入禁止措置をさらに進める可能性があるとして、台湾としては準備が必要との見方を示した。ただし焦氏は、中国側はすでに、ECFAのアーリーハーベストに属し、中国向け輸出量が多かった果物類のほとんどの輸入を停止したと指摘し、「これ以上禁止しても、意味はあまりない」との見方を示した。
焦氏はまた、中国側の動きと目的を推測することは難しいと強調し、これから何をするかは「習近平だけが知っている」と述べた。(翻訳・編集/如月隼人)
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