<驚くべきインバウンド後進国ニッポン(13)>脱落した仲間の屍を越えて前進!前進!また前進!

Record China    2014年6月22日(日) 15時30分

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昔、中国の有名な作家、魯迅は言いました。「道は初めからあったのではない、人が歩いて道になったのだ」と。写真は義勇軍行進曲を作曲した聶耳の記念碑。2枚目は聶耳が帰らぬ人となった海、湘南サーフィンのメッカとなっている。

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昔、中国の有名な作家、魯迅は言いました。「道は初めからあったのではない、人が歩いて道になったのだ」と。一つの産業が終わり、次の時代に移行する際、どんな業界にも「夜明け前」は来ます。数年前にNHKでプロジェクトXという番組に人気が出ました。中島みゆきのテーマ曲は紅白でも歌われました。どうしようもない困難に挑戦した多くの開拓者たち、そのなかで生き残った砂粒ほどの成功者。後で物語を見れば感動しますが、現実は全員毎日生きるかどうかの瀬戸際を歩いていたのです。多くの仲間が倒れて行く中、その屍を越えて行かねばならない。この言葉、かつては社会主義革命の歌で多用されました。「インターナショナル(国際労働歌)」や中国の国歌「義勇軍行進曲」です。オリンピック等で散々聞かされたあの曲の歌詞は「奴隷になりたくない人々よ、我々の血肉で建設しよう新しい長城を…」という生々しいものです。ブラック企業や業界で働いている底辺の人には、革命歌が応援歌に聞こえるでしょう。地獄から這い上がる方法は?明確な答えはありません。ただ見えるものは誰かが這い上がったであろう獣道だけなのです。

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話しを本題に戻しますが、通訳案内士も添乗員も大いに儲かった時代があったと聞きました。まるで石狩挽歌「海猫(ごめ)が鳴くからニシンが来ると〜」の世界と同じです。しかしここにはニシンはいないのです、添乗員挽歌や通訳ガイド挽歌というべきでしょう。しかし通訳案内士の多くがニシンのいる海まで取りに行くことを考えないのが現状です。旅行社や旅行系人材派遣会社、ガイド団体からの仕事を養殖場の魚のように口を開けて待っているのです。アサイン(仕事を振る会社)する会社も漁獲量に制限があるので、割り振りは配給程度です。通訳ガイドが貧困な理由は、要するにアサインの仕事(配給)のみをあてにしているからです。蟹工船でしか働けないからです。自分で船を操船してカニを取りに行かないのが原因です。これは達磨さんと同じです。達磨の禅宗少林寺修行であれば納得いきますが、こんな方法を取っていてはどんな時代でも食えません。アサインする側に圧倒的に漁獲量がないのです。

営業出身の私には、手足を使わない状態に何とも歯がゆく見えました。また、通訳案内士業界である程度成功している仲間の例ですが、通訳ガイドだけの年収400万円超(手取り)といえば上から何番目の位置になります。しかし他の業界トップから見れば馬鹿にされる金額なのです。私が言いたいのは、もし400万円手取りで150日働いたとすれば、もう100から150日を増やす気持ちがあるかないかです。年齢等で体力気力の限界がありますが、この業界で過労で倒れた話は聞いたことがありません。ブラック企業に所属しておれば、何とも極楽のような業界、通訳ガイド温泉でしょうか。今後、通訳案内士試験のハードルは東京オリンピックまでは下がると思われます。これだけ増えれば、ガイドフィーも下がると警告を鳴らす人もおります。でも挑戦したい方は歓迎します。インバウンド市場が伸びておれば、中国の義勇軍行進曲ではありませんが、仲間の屍(脱落した仲間)を踏み越えて前進するしかありません。

◆筆者プロフィール:水谷 浩(仁宣)

中国語通訳案内士会・副代表幹事。現役通訳案内士(中国語)の他、産業・医療通訳等各種通訳、講演と執筆、訪日外客コンサルとビジネスマッチング(日本と海外)を展開する。銀聯カード決済関連会社のサイトで、中国・中華市場向け中国語旅行ブログ“中日導游游日記”を長期連載している。

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