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日本嫌いだった母、ある日のニュースに驚き、その目に涙があふれた―中国人学生

日本僑報社    2022年5月21日(土) 13時0分

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日本語を勉強する私に「とにかく、急いで転科試験を準備しなさい」と母は言った。

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新型コロナウイルス感染症が中国を席巻した時、すべての人がこれに対して準備していたわけではなかった。全国各地の医療物資が緊迫した。私の家にはマスクが数枚しかなかった。感染拡大に伴い、家族は呼びかけに応じ、外出を控え、家に引きこもっていた。

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「転科試験の準備はどうなった?」と母が私に聞いてくれた。実は、大学を受験する時、私は日本語の専門に調整された。母はこのために悩んでいた。しかし、私は日本語を勉強するうちに日本語がだんだん好きになった。一衣帯水の隣国日本に対し、好奇心を持つようになった。しかし、母は私の考えを理解するどころか支持さえしてくれず、ずっと私に他の専門を勉強させたいと考えている。

「お母さん、どうして私の選択を受け入れられないの?日本はとてもいい国だよ」と私が言った。「私は小さいころから抗日ドラマを見て育ち、ドラマの中の日本人はとても優しくなくて、中国に対しても非友好的だ」と母が言った。「お母さん、耳学問では本当のこととは言えない。先入観を捨てて本当の日本人を知るべきだよ」。

そこで私は大学の日本語コーナーで知り合った日本人の友達と日本人の先生からもらった挨拶メッセージを母に見せた。彼らからのメールに、中国語で書いた「すべてが良くなるよ」「ご健康を願います!」などという温かい言葉があった。それを見て、「でも、彼らはあなたの友達だね。ほとんどの日本人はそんなに友好的ではないでしょう。とにかく、急いで転科試験を準備しなさい」と母が言った。実は平日に家で私がよく母と大学での日本語の勉強のことや日本の様々な面白いことなどを話しているが、母は私の言ったことを真に受けていなかった。

事件の転機は新型コロナウイルス感染症の発生後のある一日だった。その日、母といつものようにテレビで疫病のニュースを見ていた。それは、日本政府が中国に9トンの医療物資を寄付したというニュースだった。そのニュースを見て、母はびっくりした。「面積が小さい日本がなぜ中国にこんなにたくさんのものを寄付して来たの?」。その後の数日間、日本に関する報道が相次いだ。日本人の女の子がチャイナドレスを着た写真が各種メディアで報道された。日本の街で、彼女が寒風の中で募金箱を抱え、人々に中国への寄付を呼びかけていた。母はこの女の子を見て、表情がだんだん柔らかくなって、目にも涙があふれた。これを見ると母の心の中の氷がようやく解け始めたことが分かった。

数日後の朝、私は「お母さんは日本から湖北に寄贈された物資箱に何が書いてあったか知っている?文の後半は忘れちゃったけど」と言った。母は「山川域を異にすれども、風月天を同じくす」と言った。母がこの言葉を言った時、心の中の偏見と隔たりはもうなくなったと分かった。

今(2020年)は、中国の疫病は随分コントロールされた。私達の生活も正常に戻った。春はすでに静かにやってきた。しかし、今、日本の感染者は増え続け、疫病はますます深刻になっている。

ある日、町で、日本に寄付を呼びかけている人を見ると、母はポケットから斬新なマスクを取り出し、「人は恩を知るべきだよ。これを寄付しましょう」と言ってくれた。私は母からもらったそのマスクをスタッフに渡した。「私の家には今マスクが二枚しかないが、この一枚を日本に寄付して、日本も一日でも早く良くなるようにお祈りいたします」。スタッフが私の話を聞いて、丁寧にそのマスクを受け取り、ありがとうと言ってくれた。

家に帰る途中、道端に綺麗に咲いている桜の木を見て、私の気持ちも晴れていた。「お母さん、私はこれから日本語をしっかり勉強して、お母さんを連れて桜の国に桜を見に行く」と言った。母は私の話を聞き、微笑んで「はい、期待しているよ」と言った。桜の花が一輪も咲かない春はなく、春が来ないところはない。桜が咲き続ける限り、中日友好交流の春も続く。

■執筆者:程瑞(山東財経大学)

※本文は、第16回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「コロナと闘った中国人たち」(段躍中編、日本僑報社、2020年)より転載・編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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