北朝鮮が3月24日に発射した大陸間弾道弾（ICBM）について、米国や韓国の情報当局は「新型の火星17ではなく、既存の火星15を偽装した」との見方を示した。その意図を韓国紙は「韓国の次期政権発足や史上初の核・ICBM同時挑発を念頭に置いた可能性もある」とみている。

聯合ニュースによると、韓国の国防部は29日、国会国防委員会に提出した資料で、北朝鮮が発射したICBMが「火星15」だったと分析していることを正式に明らかにした。16日の空中爆発による（火星17の）発射失敗の場面を平壌の住民が目撃した状況で流言飛語の防止と体制安定のため、最短時間内に「成功のメッセージ」を伝える必要があり、16日の発射失敗をばん回するための戦術だったという指摘だ。

火星15とした根拠としては飛行の特性、映像の中の影、気象条件、技術的要素、米韓の分析一致を列挙。弾道ミサイルは弾種別に固有の飛行特性を持っているとして、「探知した飛行特性を分析した結果、火星17よりは火星15に類似している」と説明した。今回発射した火星15を通常の角度で発射すれば射程が1万3000キロ以上に達するという。

北朝鮮が新型に偽装した理由として、東亜日報は「まず韓国の尹錫悦次期政権を念頭に置いているものとみられる」と説明。「北朝鮮が昨年末から『核実験とICBM発射のモラトリアム（一時停止）』宣言破棄の脚本を作り、（5月の）尹政権発足前に火星17の発射、7回目の核実験の挑発を企画したということだ」と続けた。

記事は「北朝鮮が2020年10月、朝鮮労働党創建軍事パレードで公開した火星17は計4基だった」と言及。米韓情報当局の判断通りなら、このうち3基は使用され、残っているのは1基ということになる」とした。

さらに「北朝鮮が16日の空中爆発の原因を分析して補完し、尹政権発足の直前か新政権の初の米韓首脳会談を狙って火星17の発射と7回目の核実験を同時に強行するという可能性が提起されている」と言及。「核実験とICBMの発射を1、2カ月の間隔を置いて行った前例に反して同日または翌日に高強度の戦略挑発に出た場合、その衝撃は大きくならざるを得ない」と述べた。

北朝鮮はICBM発射実験の成功宣伝に熱を上げている。労働党機関紙の労働新聞は28日、「敬愛なる金正恩同志が火星砲17の発射実験の成功に貢献した国防工業部門の人々や科学者、技術者、労働者と記念写真を撮られた」と報道。正恩氏はこの席で「真の防衛力は強力な攻撃能力だ。誰も止められない恐るべき攻撃力、圧倒的な軍事力を備えてこそ、戦争を防止して国家の安全を担保し、いかなる帝国主義者たちの脅威・恐喝をも抑制できる。強力な攻撃手段をさらに多く開発し、軍隊に配備する」と強調した。（編集/日向）