2022年3月14日、米華字メディア・多維新聞は、新型コロナの感染が拡大傾向にある中国について、このままでは今年の経済成長率5．5％の達成は難しいとする記事を掲載した。

記事は、中国衛生健康委員会のデータとして、13日に中国本土で見つかった新型コロナの新規感染者が1437人に上ったと紹介。この2年で最も深刻な感染状況となる中で多くの大都市で一層厳しい防疫措置が取られており、12日夜には上海市が不要不急の市外外出をしないよう求め、やむを得ず上海を出る人、上海に入る人に対して48時間以内のPCR検査陰性証明提示を義務付けたほか、広東省深セン市でも13日より市民全員のPCR検査実施、町内や団地単位の閉鎖管理、全企業に対するテレワーク命令、生産活動の一時停止、市内の路線バス、地下鉄運休といった措置が取られたと伝えた。

そして、中国南東部の沿海地域で感染が広がっていることにより、観光、飲食、交通、エンターテインメントなどの関連産業が再び大きな打撃を受けていると指摘した。また、それ以上に景気の先行きに対する市場の不安感を募らせたのが、11日に中国人民銀行が発表した2月の社会融資総量の増加幅が予想よりも50％近く少なかったことで、中でも市民の中長期ローン額が統計を取り始めて以来初めてのマイナス成長となったことを紹介。実体経済に対するマネーサプライ量を表す社会融資総量は金融体系にどれだけ実体経済を支える力があるかを見る指標であり、半年先の経済状況が反映されると言われていると説明した。

その上で、中国政府が今月5日の全国人民代表大会の政府工作報告で今年の国内総生産（GDP）成長率目標を5．5％前後としたことに言及。「現状を見ると、中央銀行がより強力な金融緩和政策を実行するか、政府が財政赤字を増やすかしない限り、5．5％の成長率に到達しないばかりか、5％を切るところまで衰退する可能性さえある」と予測した。

記事は最後に「中国政府が経済データの低迷により市場が自信を失っている状況を座視することはありえない。きっと程なくして強力な経済刺激政策が打ち出されることだろう」と結んでいる。（翻訳・編集/川尻）