人民網日本語版 2021年9月19日(日) 17時30分
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大多数の中国人はこの写真に見覚えがあるだろう。モノクロの写真の中で、少女は粗末な服を着て、髪は乱れたままで、小さな手に鉛筆を握って机の前に座っている。
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大多数の中国人はこの写真に見覚えがあるだろう。モノクロの写真の中で、少女は粗末な服を着て、髪は乱れたままで、小さな手に鉛筆を握って机の前に座っている。表情はおずおずとしていながらも、澄んだ純真な大きな瞳がこちらをじっと見つめているようで、何かを強く求める光を放っている。
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1991年、この「学校へ行きたい」と題された写真が発表されると、たちまち多くの中国人の心を捉えた。その時から、希望プロジェクトは社会全体から広く注目され、寄付が寄せられるようになり、無数の学校に通えない児童たちが再び学校に戻れるようになった。そしてこの写真に写っていた当時わずか8歳だった蘇明娟(スー・ミンジュエン)さんは、その後の人生を変えることとなった。
30年が瞬く間に過ぎた。かつて注目された写真の小女は、その後どうなり、どんな人生を歩んでいるのだろうか?
1983年、蘇明娟さんは安徽省金寨県張湾村のごく普通の農家に生まれた。両親は漁業や作物栽培で生計を立てており、一家の暮らしは苦しかった。「大きな瞳」の写真が撮られた当時、蘇さんはまだ1年生で、1学期60~70元の教材費・雑費が家で最大の経済的負担になっていた。
蘇さんは当時通っていた張湾小学校について、「教室は天井が低くてボロボロで、窓にガラスを入れるお金もなかった。冬になると、ビニールシートをかぶせると光が入らず暗くなってしまうので、冷たい風がビュービューと教室に吹き込むに任せるしかなかった」と振り返る。寒さのあまり、児童らはよく押しくらまんじゅうをするように一塊になっていたという。
1991年5月のある日、1年生の蘇さんは熱心に授業を受けていた。蘇さんの知識を渇望するような大きな瞳が、同校を取材していた解海龍(シエ・ハイロン)記者の視界に飛び込んできた。そして、鉛筆を握った蘇さんが再び顔を上げて黒板を見つめた時、解記者はすばやくシャッターを切った。
蘇さんに最初に寄付した李万(リー・ワン)さんは、自身のわずかな手当を貯め、毎学期必ず蘇さんに100元(現在のレートで1元は約17元)を送り続け、それは蘇さんが小学を卒業するまで続いた。「中学生時代は、多くの方が私を援助してくれた。お小遣いを送ってきてくれた子供もいたし、授業のない時にやったアルバイト代を送ってきてくれた大学生もいた。天津のある退職したお年寄りは、中学から高校まで、毎年旧暦の年越しをする時に飴などのおやつや生活用品を送ってくれた」。蘇さんは感謝を込めて当時を振り返った。
その後、蘇さんを援助したいと申し出る人が他にも現れたが、善良でまじめな父親は蘇さんに、「このお金は受け取れない。私たちはもう他の人に援助してもらっているから。私もおまえの母さんもまだ働けるし、おまえと弟を養うこともできる」と話した。援助を辞退したものの、援助を申し出た人が受け取りを断ったため、蘇さんはそのお金を全額希望プロジェクトに寄付した。
2002年9月、蘇さんは安徽大学職業技術学院金融専攻コースに合格。2005年に卒業した後、中国工商銀行安徽省支店に就職した。
無数の心ある人々に助けられ、感化された結果、蘇さんも子供の頃から公益活動をするようになり、今も活動を続けている。
1997年、中学2年生になったばかりの蘇さんは、自分に寄せられた600元を寧夏回族自治区の回族の少女に自発的に送金し、この少女の学校に行きたいという夢をかなえてあげた。
2002年に安徽大学に合格後、毎学期定額で支給されていた900元の生活補助を全額他の貧しい学生に渡していた。
就職した後、蘇さんは初月給を全額希望プロジェクトに寄付。その後も毎月自分の収入の一部を寄付し続けた。また、毎年欠かすことなく、蘇さんは1000元を寄付して貧しい学生たちを支援し続けた。
2006年、蘇さんと解海龍さんは有名な「大きな瞳の少女」の写真の版権をオークションに出品。収益金30万元以上をチベット自治区ラサ市曲水県の希望小学校に寄付した。
2018年、蘇さんは3万元の貯金をスタート資金として、「蘇明娟助学基金」を設立し、愛と希望をこれからも伝えていこうとしている。この公益基金はすでに希望小学校2校の創立を支援し、45人の貧しい大学新入生をサポートしている。
そして現在、蘇さんは幸福な家庭を築き、かわいらしい子供たちの母となっている。(提供/人民網日本語版・編集/AK)
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