Record China 2021年8月8日(日) 20時30分
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羽佳純子(中国名・李隽)さんは北京市出身の卓球選手だった。現在は日本で若手を育成している。羽佳さんが日本卓球界の現状を語った。
新華社は5日付で、中国や日本で卓球選手として活躍し、現在は指導者として若手の育成に尽力している羽佳純子(中国名・李隽)さんの現状や日本の卓球界への見方を紹介する記事を発表した。羽佳さんの兄の李隼さんは中国に留まって卓球の指導者の道を歩み、東京五輪の中国卓球女子チームのヘッドコーチを務めた。
羽佳純子さんは北京市出身で、1986年から91年まで卓球の中国ナショナルチームの選手として活躍した。1992年以降は活動の場を日本に移し、日本国内で試合に参加する以外にも、日本代表として世界選手権に出場したこともある。
羽佳さんは日本の卓球界における選手育成の変化として2008年のJOCエリートアカデミーの設立を挙げた。日本全国から12-17歳の有望若手を選抜して、五輪を目指す「後継者」として育成する。同アカデミーでは、中国人コーチを招いて1対1あるいは1対2の方式で選手を育成している。羽佳さんによると「後継者」探しの対象は若年化の傾向があり、「準エリート」として小学生以下の子が選ばれる場合もある。
JOCエリートアカデミー以前に、日本での選手育成で重要な役割を果たしたのはクラブだった。羽佳さんは、日本ではクラブでもJOCエリートアカデミーでもナショナルチームでも常に、中国出身のコーチの姿があると紹介。JOCエリートアカデミーや日本のナショナルチームが招く中国人コーチは一般に若く、仕事をとても大切にして責任感が強い。技術面の訓練や身体能力についての訓練、さらには飲食など日常生活や健康管理まで、日本の若い選手の面倒を全面的に見ているという。
また、JOCエリートアカデミーや日本のナショナルチームではコーチの交代が比較的多い。各コーチにはそれぞれの良さがあるため、コーチがしばしば交代することでそれぞれの良さが伝わって、選手の能力向上に役立っているという。
羽佳さんは、日本では多くの選手が企業に所属していることの長所も指摘。選手として引退した後も企業にとどまって会社員としての仕事を続けられる体制があるため、選手にとっては「後顧の憂い」の問題が解決されていると紹介した。
記事は、卓球以外でも日本では水泳やスケートなどで、大学で活躍した選手は卒業後に企業に採用され、基本的に引退後の心配をする必要がなくなるので、選手生涯に全力を投入できると解説した。
羽佳さんは、日本では民間の卓球熱が高く、引退した選手が運営する卓球クラブや卓球教室は非常に多いと紹介。羽佳さん自身が運営するクラブでも、12歳以下の部で東京都第1位と第3位の選手、全国では16位、関東地方の団体戦では優勝するなど、日本のユースチームに多くの選手を送り込んだという。
羽佳さんが運営するクラブは、午前中は大人を対象に指導している。午前中に練習する生徒の多くは70歳以上で、中には83歳の女性もいるという。費用については、試合出場を目指す子どもの場合には、毎日3時間半の練習を行い、十数人の子どもに対して3、4人のコーチを配するが、授業料は一般的な塾よりも安価だ。1対1の指導を受ける場合には費用が若干上乗せされ、試合出場に関連する費用も自費だが、一般的な家庭が負担できる程度という。
東京五輪の混合ダブルスの決勝戦で日本が中国を破ったことには、日本でも中国でも大きな関心が寄せられた。中国では「中国出身のコーチが育成した日本人が中国人を破った」ことに疑問を示す声も出た。伊藤美誠選手を悪意をもって揶揄(やゆ)する投稿も見られた。
羽佳さんは、混合ダブルスで優勝した際に日本が大騒ぎになったことについて「理解できる」と述べた。日本で長い間期待されていた、五輪における初めての卓球の金メダル獲得だったからだ。羽佳さんは、中国のネット民が悪意ある投稿をしたことも、大きな問題ではないとの考えを示した。羽佳さんはその後に投稿された、伊藤選手が持ってきたおにぎりを中国の孫穎莎選手に分けたり、二人が筋肉の付き具合を比べる動画の方がさらに人気を集めたとして、「今の若い世代の雰囲気や交流の様子は、私たちの世代より良好です。試合の場では自分をむき出しにしますが、試合以外の場では切磋琢磨し合う友だちです。世論も感動したわけです」と述べた。
中国出身のコーチが国外に出て外国人を指導することについても、「世界各国で卓球のレベルが向上すれば、強い相手が出現したということで互いに競って切磋琢磨することになります」と説明。かつては平野美宇選手の台頭、最近では伊藤選手らが、中国の女子チームにとって「カンフル剤」になったという。
羽佳さんはさらに「中国だけがいつも勝つとしたら、世界の人は面白くないですよね。激烈な競争を通じて卓球のレベルを引き上げてこそ、世界に注目してもらえるのです」との考えを示した。(翻訳・編集/如月隼人)
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