怒りを買うフォード、信頼を得るトヨタ―中国メディア

Record China    2014年3月22日(土) 21時17分

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20日、米国に本社を置く多国籍企業フォード・モーターの「クーガ」が今月15日の「世界消費者権利デー」のイベントに加わらず、膨大な費用をかけて広告を打ったことが、中国メディアの怒りを買っている。

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2014年3月20日、米国に本社を置く多国籍企業フォード・モーターの「クーガ」が今月15日の「世界消費者権利デー」のイベントに加わらず、膨大な費用をかけて広告を打ったことが、中国メディアの怒りを買っている。人民日報を含む多くの大型メディアが、長安フォードを批判し、国家質量監督検験検疫総局(質検総局)に資金を拠出して調査を行うよう提案するなどし、こうした動きを多くのメディア、ネットユーザー、企業関係者が「微信」(WeChat)や「微博」(ウェイボー)を通じて次々に広めている。中国経済網が伝えた。

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▽長安フォードの何がメディアの怒りを買ったのか

長安フォードのクーガやフォーカスに問題が露見している。特にクーガにはシャフトの破損という深刻な問題が明らかになった。その問題に対する長安フォードのオーナーや消費者に対する反応は、このほどたびたび報道されていた。クーガのシャフト破損をめぐる公式の対応は奇妙なもので、前後に矛盾があり、最終的にはリコール(回収)することになった。ナックルが破損したためシャフトも破損したとして、原因を原材料の問題に帰し(業界では設計の問題が疑われている)、消費者は自らの権利を守ることが出来なかった。その後、発売からまもないモンデオでもシャフト破損が起こり、これにフォーカスのオイル漏れへの対処が不十分だったことが加わり、長安フォードのシャフト破損をめぐる一連の問題とその対応は、2013年から現在まで、中国の自動車業界で最も「有名」な事件となり、自動車産業、消費者、オーナーの間で語りぐさとなっている。

こうした事件の過程で、人々が最も理解に苦しんだことは、長安フォードが製品の欠陥に対して繰り返しみせた矛盾した態度だ。クーガのオーナーである凌さんへの奇妙な対応は、人々を驚かせ、疑問を抱かせている。これは成熟した、長い歴史をもつ多国籍企業が中国市場で取る態度なのだろうかという疑問だ。

態度といえば、4年前に日本のトヨタ自動車が米国と中国の両市場で「相次ぐリコール」や「ブレーキ故障」に見舞われた際に取った態度が思い起こされる。トヨタもフォードと同じく多国籍企業だ。

2010年3月2日、トヨタの豊田章男社長は米国下院議会の公聴会で謝罪すると、すぐさま中国へ移動し、メディア発表会を開催して、フロアマット、アクセルペダル、制動装置の問題について説明するとともに、中国の消費者に対して公開の場で頭を下げて謝罪し、問題から逃げなかった。また中国でのトヨタの成長スピードが早すぎたこと、品質のコントロールが不十分であったことを認めるとともに、問題の発生を確認した時に重要なのは隠さないことであり、顧客の安全を優先順位の一番目に置き、現地の法律に基づいて適切な市場対策を取り、問題発生の原因を必ず深く掘り下げて検討し、再発防止に務めなければならないということを認めた。

豊田社長が中国に来たのは、米国の公聴会で涙ながらに謝罪したのとは異なり、ただ火消しに来ただけではないかという声もあるが、豊田社長の態度や事故発生後にトヨタが取った措置は、中国の消費者やメディアにトヨタは消費者に誠意を尽くす多国籍企業だと感じさせるに十分なものだった。

トヨタの事故発生後、業界はトヨタが再起不能になるのではないかと見守った。米国と中国は世界の二大市場であり、トヨタにとっても最大の海外市場だ。製品に重大な問題が起きたトヨタが泥沼を抜け出せるかどうかに注目が集まった。トヨタは確かに市場で一連の反発を受けたが、世界で最も有名で最もブランド価値の高いトヨタが取った誠意ある態度は、世界最大の自動車企業の名に恥ずかしくないものだった。トヨタは逃げ隠れせず、問題にまっすぐ向き合い、消費者の信頼を獲得し、難関を乗り切り、早いペースで世界一の座に駆け上った。

それに比べて今のフォードはどうか。同じく100年の歴史をもつ多国籍自動車ブランドが、品質の欠陥という問題に遭遇した時に取った態度は、トヨタとまったく違う。

13年上半期にクーガのオーナーらが初めてシャフト破損に遭遇してから現在まで、フォードのムラーリー最高経営責任者(CEO)が中国に来て謝罪するのはもちろんのこと、アジア太平洋地域や中国エリアの責任者、または長安フォードの上層部でもよいから姿を見せて謝罪すれば、中国の消費者は理解を示すと思われるが、フォードはお高くとまって、欠陥について決して頭を下げようとしない。中国の消費者のことは眼中にないといえる。

トヨタとフォードを比較するのは、どちらも多国籍企業であり、中国市場に進出してから10年以上経ち、製品をめぐる重大な問題に遭遇しているからで、トヨタとフォードの大きさを比べようとしているのではない。実際、トヨタのサービスや消費者に対する態度は、フォードに見習わせたいと思わせるものだ。トヨタがなぜ長期にわたり世界一の自動車メーカーの座を維持していられるのか、その原因はここにある。トヨタは米国でも中国でも、消費者に対して賞賛すべき態度を取る。傘下の高級車ブランド・レクサスなどは、高いサービス水準と誰もが評価する態度で、消費者の間に浸透し、一つのシンボルになった。

フォードは中国市場進出以来、平坦な道を歩んでは来なかった。ここ数年は、製品の投入を増やし、生産能力の拡大を急ぎ、フォーカス、クーガ、モンデオ、エコスポーツなどのリニューアル車をうち出しており、中国市場で遅れを取るまいとする決意をうかがわせるが、製品がすべてではない。ましてや製品に重大な欠陥がある時、その企業が誠意ある態度をみせなかったとしたら、消費者はどう思うだろうか。

企業が成功するには、実力ある製品を擁するだけではなく、消費者に対して誠実な態度を示すことも必要だ。中国には、「水は船を浮かべることもできるが、ひっくり返すこともできる」ということわざがある。消費者は水、企業は船だ。船がどこまで進むか決めるのは消費者であり、時には船をひっくり返すのも消費者だ。(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)

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