「南水北調」プロジェクト、北京で給水開始=水不足の根本的な解決にはならず―米紙

Record China    2014年12月31日(水) 10時0分

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25日、長江流域から北部に水を引く「南水北調」は、一大国家プロジェクトとして推進されているが、数々の論争も呼んでいる。中央ルートの完成から2週間が経過し、北京での給水が始まった。写真は重慶の三峡ダム付近にある世界最大のドリーネ(溶食凹地)。

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2014年12月25日、米紙ニューヨーク・タイムズは、「中国の南水北調プロジェクトの水が北京へ」と題した記事を掲載した。中国南方地域から約1300キロを旅してきた水が、北京の蛇口から出てくることになる。

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長江流域から北部に水を引いてくるという「南水北調」は、一大国家プロジェクトとして推進されているが、数々の論争も呼んでいる。その中央ルートの完成から2週間が経過し、北京での給水が始まった。

南水北調中央ルートにより、北京は年間需要量の3分の1がまかなわれるという。だが、専門家からは、高コストのプロジェクトは長期的な解決案にはならないとの指摘がある。首都の人口増加や経済成長にともなって水の需要も増大し、汚染によって利用可能な水源も減少している。北京は今後もきわめて深刻な水不足と向き合うことになる。

水利部(省に相当)の研究者は、新たに引かれる水は首都の水不足をある程度緩和するが、汲み上げ過多の地下水の不足を補うことは難しいと指摘する。南水北調中央ルートの完成以前、北京では毎年36億立方メートルの水を消費していたが、その半分近くは地下水だ。1998年以降、北京の地下水位は毎年約13メートルのペースで低下しており、研究者は「北京は約60億立方メートルの水を地下に戻さなければならない」と語る。これは南水北調だけでは解決できない不足量であり、根本的な解決のためは節水と北京の人口を抑制するしかない。昨年、中国工程院(工学アカデミー)の王浩(ワン・ハオ)氏は「北京の地下水が空になろうとしている。地下水位は一年で90メートルも低下した」と警告した。

だが、これは容易なことではない。理由の一つとして挙げられているのが水道管の老朽化だ。北京を含めた大都市の水道管網は老朽化が進み、常に漏水している状態で、大規模な改修の必要性が指摘されているが、ほとんど何の対策も取られていないという。もう一つの理由は、水道料金が安すぎることだ。節水を推進するため、水利部の研究者は、水道料金を少なくとも現在の倍にする必要があると指摘しているが、今のところそのような計画が検討されたことはないという。(翻訳・編集/岡本悠馬)

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