米国の中国語ニュースサイト、多維新聞は1日、米中西部ミネソタ州ミネアポリス近郊で黒人男性が白人警官から首を圧迫され死亡した事件への抗議活動が全米各地に広がっていることについて、中国の国営メディアの報道内容を紹介する記事を掲載した。

記事によると、中国の国営メディアは、ナンシー・ペロシ米下院議長が昨年6月、香港での抗議活動を「美しい風景」と呼んでいたことを引き合いに出し、米国の混乱をやゆする報道を続けている。

中国共産党の青年組織「共青団」の微博（ウェイボー）公式アカウントは5月29日、米国の一部で抗議活動の参加者が暴徒化して略奪や破壊行為が行われている写真を添えて、「美……美しい風景？」とのコメントを投稿した。

中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報の胡錫進（フー・シージン）編集長も同30日、「ペロシ氏が呼んでいた『美しい風景』が香港から米国の十数州に広がっている。米国の政治家は今や、自宅の窓からその光景を楽しむことができる」などと論じた。

中国中央テレビ（CCTV）の看板ニュース番組「新聞聯播」は同31日、「アフリカ系米国人男性の惨死により再び、米国の残酷な人種差別のかさぶたが剥がされた」と題する論評を引用し、「ジョージ・フロイドさんの死亡により引き起こされた大騒乱は、米国の政治家が自ら醸造した苦い酒であり、『もっと早くに国民に謝罪すべきではなかったか』と米国の政治家に問い返している」と伝えている。（翻訳・編集/柳川）