<在日中国人のブログ>留学生よ、緊急事態の日本を学ぼう

黄 文葦    2020年5月26日(火) 13時40分

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日本の緊急事態の中、悩み、困る留学生が多数いる。仕事の関係で、よく留学生と接しているが、この2~3カ月、留学生から質問や相談が多くあった。写真は緊急事態宣言中の銀座。

日本の緊急事態の中、悩み、困る留学生が多数いる。仕事の関係で、よく留学生と接しているが、この2~3カ月、留学生から質問や相談が多くあった。例えば、このような内容。「料理ができません。緊急事態なので、飲食店が営業してないから、どうしよう。コンビニの食べ物に飽きました」。そのアドバイスは簡単だろう。「出前を利用するか、やっぱり自分で作ったほうがいいでしょう。今は自炊を勉強するチャンスです」と伝えた。

4月、日本で緊急事態宣言が発令された直後、ある中国人留学生が日本での暮らしをたいへん心配していた。「中国に帰りたい。今は中国のほうが安全だと親に言われた。日本で新型コロナに感染したら、命の危険があるじゃないですか。怖い…」

確かに、厄介なウイルスなので、感染したら、若くても重篤になる可能性はゼロではない。命は一番大事である。幸い、緊急事態の中、学校はオンライン授業に切り替えてくれて、留学生が家で勉強するようになった。でも今、日本を離れようとしたら、どうだろう。

9年前の東日本大震災のことを思い出した。その時、私は入国管理局へ取材に行った。入国管理局の外にはかつてないほど長い列ができていた。その時、皆が今と同じで、マスクをつけていた。在日外国人が日本を離れようとしており、再入国手続きをするために、入管に殺到した。その光景を見ると、感慨深かった。「なぜ今、帰国しますか」、長い列に並ぶ人にきいてみた。「福島第一原発は危ないじゃないですか。爆発しそうです。逃げるしかないです」とある在日外国人が真剣な顔で答えた。日本が危機に陥った時、大勢の外国人が身の危険を感じ、日本をさっさと後にした。その後、外国人はまた日本に戻ってきたけれど、日本と共に苦難を乗り越えることができなかった。外国人を責めるつもりはないのだが、日本で暮らしている人間として、もっと心底から日本に寄り添えばいいだろう。

もちろん、留学生にとって今回の新型コロナの緊急事態は大きな試練だろう。アルバイトもできないし、学校にも行けない。経済的にも打撃を受けたはず。中国人留学生は日本と中国、両方のことを憂慮している。どちらへも迷う。帰国しても隔離される。異国の地で、ひとりぼっちで命の危険など重い課題を考えてしまうと、本当につらい。

そしてこの間、私は20数年前の留学生として、緊急事態の今、「中国に帰りたい留学生」に助言した。「日本では新型コロナによる感染の危険があるかもしれないが、長い目で日本を見たほうがいいと思います。単に目の前のことを心配するのではなく、少なくとも一年後、二年後のことを考えてください。君は留学するために日本に来ました。日本語と専門知識を勉強するのは大事ですが、今、一つの課題が増えました。緊急事態の日本を学ぼう。せっかく日本に身を置いているのだから、自分で情報収集して、自分の目で日本の状況を判断してください。中国語と日本語の情報を比べてみてください。そうすれば、日本をもっと深く認識できると思います。新型コロナのせいで、つまらない時があると思いますが、人生には無駄な時間はなく、どんな時も人生の流れであり、悲観的に待つのではなく、できることからやりましょう」

多くの留学生は新型コロナの時期に日本で新しい発見があった。少し例を挙げよう。

「日本政府の新型コロナの政策は曖昧ですね。でも、強制政策ではないのに、日本人は皆自粛していて、それはすごい。中国なら、強制的な政策ではないと、人々は従わない」

「テレビを見て分かったこと。首相より知事のほうが仕事を頑張っているみたい」

「日本政府のマスク政策はよくない。長い間、店でマスクが見つからなかった」

「日本人はなぜそんなにパチンコが好きですか。不思議ですね」

……

また、新型コロナの時代、在日中国人留学生には、「日本のために、私たちができることは何か」、「日本と中国の間、私ができることは何か」、このような課題を考えてもらいたい。留学生よ、緊急事態の日本を学ぼう。緊急事態の中でも、しっかり成長すればいいんだ。

■筆者プロフィール:黄 文葦

在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

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