新型コロナ、東南アジアの状況見過ごせず―中国メディア

Record China    2020年3月29日(日) 8時30分

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新型コロナウイルスが欧州で猛威を振るっている中、東南アジア諸国はそれほど緊迫した状況にはない。感染症例も数からいえば、それほど深刻な状況にないが、いまだ楽観できない状況だ。写真はバンコク。

2020年3月26日、環球時報は曁南大学国際関係学院華僑華人研究院の代帆(ダイ・ファン)副院長の署名記事を掲載した。以下はその概要。

新型コロナウイルス感染症が欧州で猛威を振るっている。これに反し、中国と近隣のASEAN(東南アジア諸国連合)諸国は、それほど緊迫した状況にはない。シンガポールを除いて、インドネシア、フィリピン、マレーシア、タイなどの感染症は数から言えば、欧州のようにいまだ燎原の火のような勢いはない。

東南アジア諸国は、いくつかの理由から感染症に対して楽観的だ。多くの人は同地域の気候が高温であるため、ウイルスの活動が弱く、ウイルスの伝播には不利だと思っている。また、ASEAN諸国は若年層が非常に多く、持病などが少ないため、新型コロナウイルスに対しても抵抗力がある。2018年のデータによると、フィリピンの24歳以下の人口は総人口の52.18%を占め、65歳以上の人口は総人口の4.61%で、全人口構成の中で若年層の占める割合は多い。インドネシア、マレーシア、ベトナムなどの諸国も同様だ。

しかしながら、ドイツのウイルス研究専門家は、「私は夏にウイルスが収束するとは思っていない。新型コロナウイルスは一年にわたり持続し、6、7月がピークだろう」と指摘している。これに従えば、政府による感染症対策が気候などの自然要因よりも有効であることがわかる。現実のところ、マレーシア、シンガポール、タイ、インドネシア、フィリピンなどの感染症例は緩やかにあるいは着実に増加しているが、いくつかの国は悠長な対応をすることで人々を驚かせている。

国民に対して規制を実施している国もあるが、政府の多くの措置は強制的には執行できない。例えば、マレーシアは生活必需品を販売する市場を除いて、デパートなどは一律営業停止だ。イスラム教のモスクは大勢による礼拝は禁止、自宅で礼拝を実施する。ただし、スーパーでの買い占め、多くの人の密集、レストランの営業などが見られ、人々はそれほど感染症に対する警戒意識はない。フィリピン政府は3月15日に、同国の感染症に対する警告レベルを最高レベルまで上げた。同時にマニラでは30日の都市封鎖を実施し、全校を休校にすると宣言した。この他、政府は大規模なイベント活動を禁止した。ただ、現在のところ、政府のこのような措置に対して、国民は楽観的だ。

また、マレーシアの友人によると、街中の商店や市場は依然として営業しており、多くの買い占め客の半分くらいが、マスクをしていない状況だ。これに対して、バンコクの多くの人々は新型コロナウイルスに対する自己防衛の意識は高く、ほとんどの人が外出時はマスクをする。しかしながら、バンコクの中国の友人は、タイ政府の感染症に対する防衛や制御システムに関しては依然として中国にはるかに後れを取り、政府の多くの政策の実行が不十分だとみている。フィリピンでは3月16日の封鎖初日、警察は各所にバリケードを設置しただけで、全く隔離機能を果たしていなかった。多くの軍警察は一枚の布で鼻と口を覆っただけで、素手で身分証の検査を実施し、多くの場所で体温測定をしていなかった。公共交通は乗客で密集している中、多くの乗客がマスクをしていない。ある市民はふざけた態度で軍警察検査に応じていた。

感染症に対して、政府が有効な医療資源を備えているのか疑問だ。経済発展と社会条件の影響を受けて、東南アジア諸国はいくつかの経済先進都市の人口密度は高いが、医療資源はかえって不足している。フィリピンのマニラの人口密度は高い。特に貧困人口は多いが医療資源が比較的欠乏しているので、一旦、感染症がまん延した場合、その影響は予測し難い。25日現在、フィリピンの新型コロナウイルス感染者は636人で、死者は38人。現地の中国人によると、フィリピンのいくつかの地区はすでに感染症の疑いの症例に関して、検査ができない状況になっている。

東南アジア諸国は非常に多様化したエリアだ。カンボジアやシンガポールのように政府が強い国や、フィリピンやミャンマーのように政府の動員力が比較的弱い国などさまざまだ。東南アジア諸国の新型コロナウイルス制御はいまだかつてない挑戦だ。感染症との闘いに成功する重要な鍵は、政府の政策だけでなく、国民の大幅な協力と政府への支持により成る。データによれば、2018年中国とASEAN(東南アジア諸国連合)の人々の往来は延べ5700万人、毎週4000近くの便が中国とASEANを往来している。ともに隣国として、われわれは東南アジア諸国が一日も早く感染症の影響がなくなることを希望する。(翻訳・編集/福田教利)

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