Record China 2013年11月8日(金) 17時4分
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8日、米政治学者フクヤマ氏は記者会見し、「中国では中産階級が大幅に増加し、彼らは技術や資金を持ち、批判する自由を持ちたがる。政府は急増する中産階級を無視できない」と述べ、中産階級の要求を中国政府が受け入れ改革を断行せざるを得なくなるとの見方を示した。
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2013年11月8日、ベストセラー「歴史の終わり」などの著書がある米政治学者・フランシス・フクヤマ・スタンフォード大学上級研究員は日本記者クラブで会見し、「中国共産党政権は、法の支配、民主的な説明責任など権力を制限する機能は欠けている。バランスを欠いた国家で危機に瀕している」と指摘。その上で、「中国では中産階級が大幅に増加し、彼らは技術や資金を持ち、批判する自由を持ちたがる。政府は急増する中産階級を無視できず、(法の支配確立や民主化への)オープン化につながっていく」と述べ、中産階級の要求を中国政府が受け入れ、様々な改革を断行せざるを得なくなるとの見方を示した。
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国家の政治的秩序には(1)市民の安全のため力を行使する中央集権的な近代国家、(2)国の力を制限する「法の支配」、(3)「民主主義」的な説明責任―の3つが必要だ。中国は他のどの国より早く2000年以上前の秦の時代に近代国家をつくった。科挙で選抜された官僚が統治する中央集権国家で属人主義を排し実力主義が確立されていた。
しかし歴代王朝は「法の支配」や「民主主義」 的制度をつくることはできなかった。現在の共産党政権でも、権力行使はうまくいくが、権力を制限する機能は欠けている。したがってバランスを欠いた国家と言え、危機に瀕している。
中国は急激な高度経済成長と社会的な変化が進行し、中産階級が大幅に増加している。彼らは技術や資金を持ち、批判する自由を持ちたがる。政府に責任を持って対応してほしいと考えている。 したがって急増する中産階級を無視できず、(法の支配確立や民主化への)オープン化につながっていく。これらに政府が抵抗すれば大きな不安定を招くことになる。
11月9日から始まる中国共産党中央委員会第3回全体会議(三中全会)は大きな注目点だ。金融改革をはじめ改革が打ち出されれば歴史的な会議になる。
米国もリーマンショック後、中国とは逆の危機に瀕している。シリア問題や政府債務不履行問題へ対応をめぐる混乱は物事を決められない脆弱性によるものだ。複数のバランス&チェックを求める勢力と中央集権的な独裁を恐れる勢力との間で分極化が進行している。政治的な劣化も進行している。
日本は政治制度が硬直化している中で決めていく能力が欠如。中央集権的官僚制が強固で、既得権益集団も存在するため、抜本的な改革が困難。福島原発処理なども含め課題は山積している。日本の危機は、1930年代の米国(大恐慌)、1997年の韓国(アジア危機)と異なりゆっくり進行しているので、変化を求める国民全体の動員がなく、改革で後れを取った。
欧州は安定した北部と混乱が続く南部とで「2つのヨーロッパ」に分かれる。イタリア、ギリシャなど南部ヨーロッパにはすべての問題が累積している。(取材・編集/HY)
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