Record China 2013年10月9日(水) 1時42分
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中国に行く時、中国の知り合いにいったい何をお土産に持っていけばいいのか考えると難しい。相手に負担がないものをあげたい日本人は食べるとなくなるお菓子類を選ぶが中国人が好むお土産とはなにか?
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2年に一度行く新疆ウイグル自治区と青海省。久々に会う現地の友達との再会がうれしいはずなのに、出発の日が近づくと憂鬱になってくる。友達というよりも知り合いのお土産に何を持っていけばいいのかわからないから。たまにしか行かないから、何か小さなお土産でもいいから渡したい。だから私はきれいな箱や缶に入ったお菓子を渡していた。
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ところが、2年前、新疆ウイグル自治区のカシュガルに住んでいるウイグル族の友人に「お菓子のお土産はやめてほしいの。ウイグル族は日本人の友達にもらったお土産をみんなに見せびらかす時、お菓子は食べると無くなるから食べ物以外のものがいいわ」と言われてしまった。
知り合いなので、予算は1000円以内で日本の特色があり、たくさん持って行ってもかさばらないもの。この条件を全て満たすお土産を探すのは相当難しい。
以前、テレビで紹介されていた京セラのセラミック製の包丁は中国人観光客が京都で必ず買うお土産らしい。この包丁は値段が高いので、私はセラミック製のピーラーをたくさん買った。これなら日本にしかないし、もちろん日本製、しかもかさばらない。自信満々で新疆や青海の知り合いに渡した。これが中国人観光客に人気があり、日本製で日本にしかないこともちゃんと説明したが、本当に不評であった。
友達の四川人の曹さん、北京人の唐さんにきいたところ、中国人にとってピーラーのような「使うもの」はお土産として最悪らしい。きれいな缶に入ったお菓子は漢民族にあげるなら良いが、私の場合、イスラム教徒の友達が多く、なかにはイスラム食品しか食べない敬虔なイスラム教徒の人もいるので、そんな人には不向き。
曹さんと唐さんはお土産で一番いいものは置物など飾るものだと言う。「飾るものは個人の趣味によるから、日本では『消えもの』と言って食べてしまうとなくなるものが好まれるのよ。自分の趣味にあわない置物なんてもらっても困るでしょ?」と言うと「本当に困ります」と曹さん。「そんな置物、部屋に飾るの?」「飾りません。物置においてます。だからうちの物置はそんなものでいっぱいです」。唐さんは「それでも中国人には飾るものを送るのがいいです」と言い切る。「中国人にとってお土産のポイントは体面です。例えば、栄養食品もお土産によく使います。でも、栄養食品は高級だけど、まずいってみんな知っているから、もらってもすぐまた、他の人にあげます。そういうものなんです」とも言う。
若い世代には新しい価値観が生まれてきているだろうと思っていたのに、20代なかばの中国人に「中国人へのお土産で重要なのは体面」と言われるとは。なかなか価値観って変わらないものだな。
■筆者プロフィール:浜井幸子(はまい・さちこ)
1966年神戸市生まれ。19才の時、初めての海外旅行で行った中国の魅力にはまり、90年代の中国をバックパック旅行する。その後、中国やアジアの食を中心に書くライターとして活動中。著書に「中国おもしろ商人スクラップ」、「中国まんぷくスクラップ」など。
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